ローカルにもグローバルにも対応できるSCMを実現--日本市場を重視するGXS

山下竜大(編集部)

2006-05-08 15:44

 グローバルに企業間電子商取引ソリューションを提供するGXSは、IBMの旧EDI/BES部門から独立したG Internationalを2004年11月に買収し、2005年8月に合併を完了。日本法人においても2006年4月30日付けで合併を完了し、新生GXSとしてのビジネスをスタートした。

 そこで、GXS社長兼最高経営責任者(CEO)であるGary G. Greenfield氏に、同社の現状と今後の展開、そして日本市場への期待について話しを聞いた。

--GXSのビジネスの現状について聞かせてください。

 2006年4月にGXSとGインターナショナルの日本法人の合併に関する発表をしましたが、両社の合併の完了により日本市場におけるビジネス戦略を大幅に強化することが可能になります。日本市場は、特にサプライチェーン管理(SCM)において重要な市場であり、今後のビジネス戦略は非常に重要になります。

 これまで日本市場におけるGXSのビジネスは非常に限定的なものだったといえますが、Gインターナショナルの合併により日本特有のビジネスに幅広く対応できるようになります。BtoBの市場は、グローバルでありながら非常にローカル色が強いビジネスといわれています。グローバルにつながってはいるものの、日本では日本の、米国では米国の、欧州では欧州のローカルなルールが存在しています。

 今回の合併により、日本市場においても、グローバルにも、ローカルにも対応できるビジネス環境を実現することができました。

--GXSにおける日本の市場規模と今後の展望について聞かせてください。

 現状では、GXSの全売り上げの7〜8%の規模ですが、早い時期に10%以上に拡大したいと思っています。グローバル市場に強いGXSとローカル市場に強いGインターナショナルの統合により、より強力なビジネスを展開することが可能であり、この目標は達成できるでしょう。

 今回、Gインターナショナルの買収が完了することで、より多くのパートナー企業と協業することが可能になります。ローカルなパートナーシップも重要ですが、GXSではwebMethodsをはじめ、多くのパートナー企業とグローバルなビジネスを展開していることも重要です。

--競合に比べ、GXSの強みはどのような点なのでしょう。

 GXSの最大の強みは、ローカルな取り引きであろうと、グローバルな取り引きであろうと、ひとつのプラットフォームで対応できるソリューションを提供できることです。グローバルな取り引きだけを考えると、Sterling Commerceが競合に挙げられますが、彼らはローカルな取り引きへの対応には強くありません。

 また、GXSのソリューションは、各国の言語に対応されていますし、各国の業界標準にも柔軟に対応することが可能です。

--日本のビジネスを熟知したRobert Stevenson社長を迎えたのは、ローカルな市場対応という意味もあるのですか。

 Robert Stevenson社長は、GXSの戦略を自身で具現化しているユニークな存在なのです。同氏は、グローバルなビジネスの経験を持ちながら、それを日本のローカルな市場にどのように生かしていくことができるかを(日本BEAシステムズの社長として)すでに経験し、多くのノウハウを持っています。GXS日本法人の社長として最適な人物といえるでしょう。

--以前は、INTERSOLVではデータのコネクティビティがテーマでしたが、今はビジネスのコネクティビティをテーマにしていますね。“コネクティビティ”に関わるバックグラウンドをお持ちなのですか。

 そんな風に考えたことはありませんでした(笑)。確かにINTERSOLVのビジネスは、一企業内のビジネス(データ)を連携することが目的でした。しかし現在のビジネス環境を考えてみると、企業内で完結するビジネスはすでにシステム化が済んでおり、いかに企業間のビジネスを連携するかがシステム担当者の最大の関心事になっています。これを具現化するのがGXSのソリューションなのです。

--GXSのソリューションは、顧客にどのような価値を提供できるのでしょう。

 GXSが顧客に提供できる価値は明確です。たとえば、大手企業でも、小さな企業でも、グローバルな企業でも、ローカルな企業でも、効率的かつ効果的に取り引きを行うことが可能な仕組みを提供できることが最大の価値といえます。

 これにより、小さな企業でも、大手企業と同等のビジネスチャンスを得ることができます。一方、大手企業は、優れた技術や製品を持つ小さな企業と取り引きできることで、ビジネスの幅を広げることが可能になります。

 企業の規模やロケーションにかかわらず、平等にビジネスを展開できるプラットフォームを提供できるのがGXSなのです。

--GXSのソリューションの今後の方向性について聞かせてもらえますか。

 従来、GXSのビジネスはメッセージングによるシステム統合が中心でした。しかし、現在ではダッシュボード製品の提供や可視化のための仕組み、ビジネス・インテリジェンス(BI)機能の提供、同期化やアウトソーシングなど、さまざまな製品やサービスにソリューションを拡大しています。

 これまでは、単にメッセージのやり取りによりビジネスをいかに円滑に進めていくかがビジネスの中心でしたが、現在では他社も含めた形で、いかに事業を統合できるかがビジネスの中心となっているのです。

 今後は、さらにオンデマンドなSCMプラットフォームのプロバイダーであるという位置づけを強化するためのソリューションを実現する取り組みを推進していきたいと考えています。

日本市場について語るGXSのグリーンフィールド氏 GXS社長兼最高経営責任者(CEO)、Gary G. Greenfield氏。

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