NECは10月17日、最大ベクトル演算性能144テラフロップス(FLOPS)のスーパーコンピュータのSXシリーズ「SX-8R」の販売を開始した。価格は月額レンタル料金が約121万円(税別)からとなる。
SX-8Rは、演算用プロセッサのベクトル加算器と乗算器の数を従来モデルに比べ2倍に増やし、1プロセッサ当たりの演算性能を2倍以上ある35.2ギガFLOPSに高めた。これにより、最大8個のプロセッサで構成するシングルノードの最大ベクトル演算性能は281.6ギガFLOPSに達する。
マルチノード構成として最大512ノードを接続すると、プロセッサ数は4096個となり、演算性能は「ベクトル型スーパーコンピュータで世界最高速となる144テラFLOPS」(NEC)を実現する。
1ノード当たりのメモリ容量も、従来モデル比2倍の最大256Gバイトとしたことで、512ノード構成時は最大128テラバイトとなる。プロセッサとメモリ間のデータ転送速度は、最大288テラバイト/秒あり、約10%高速化した。
NECは、プログラムの実行に必要な演算リソースを計画的に割り当て、占有利用を可能にするバックフィルスケジューリング機能を提供するスケジューラ「JobManipulator」も販売する。JobManipulatorの計画的なリソース管理機能により、「システムの稼働率を最大化できる」(NEC)という。
NECでは、SX-8Rについて、今後1年間で200システムの販売を見込む。
なお、NECは、次期ベクトルスーパーコンピュータ開発にも着手しており、現在1プロセッサ当たりの演算性能が100ギガFLOPS以上の1チップベクトルプロセッサの開発などを進めている。