経験と情報量の多さが復旧サービスの強み
データサルベージでは、市販されている複数のデータ復旧ソフトウェアに加えて、独自のソフトウェアを利用した復旧作業を行う。加えて、各ハードウェアについての詳細な情報を常に収集することによって、復旧の可能性を高めているという。
「例えば、同じ会社の作ったHDDであっても、型番や個体差によって不良が多発するといったことがあり、そうした情報は常に収集している。ハードウェアの障害が疑われるような場合でも、実際には不良情報が出ているファームウェアを修正してやることで復旧するといったケースもあるので、諦めてしまわずに問い合わせてほしい」(阿部氏)
また、サービスによるデータ復旧の可能性を高めるためには、ソフトウェアを使う場合と同じく「おかしくなったら、可能な限りそのストレージを動かさない」ことが重要だという。実際に、ユーザーレベルでHDDメーカーの提供しているユーティリティツールを見つけ出し、何とか復旧を試みたものの、正しく操作できずにHDDの中身を完全に消してしまったり、市販のユーティリティソフトでスキャンディスクをかけたところ、不良セクタの検出によってファイルが書き出され、それによって復旧すべきデータが上書きされてしまったといった例もあるそうだ。
慎重に行いたい業者選び
現在、こうしたデータ復旧サービスを提供している企業は多い。Yahoo!やGoogleなどの検索エンジンで「データ復旧」と入力して検索してみると、多くのサービスの広告リンクが表示されるはずだ。
ただし、業者の選定には十分に配慮をすべきだ。中には、初期診断で十分な調査をせず、利用者に対してすべて同じ内容の結果を送付していたり、復旧前の見積額と実際の請求額がまったく異なるといった悪質な業者も存在するという。データサルベージでは、初期診断は無料、また、診断結果から算出される見積額と実際の請求額は一切変わらないと阿部氏は強調する。サービスの内容や料金はもとより、企業にとって大切なデータが閉じこめられてしまったHDDを預ける以上、業者選定は慎重に行うべきだろう。
また、こうしたサービスを利用するにあたって、特にストレージの大容量化が著しい今日では、総合的な復旧コストは高くなりがちな傾向にある。価値の高いデータは信頼性の高いストレージに保存し、バックアップや機器のメンテナンスを適切に実施しておくことに加えて、「保存されているデータの作成に費やされたトータルコスト」を把握しておくことにより、いざというときに「データを再び作り直すコストとデータ復旧サービスを利用するコスト」を比較検討することも可能になる。
データの資産価値が高まっている昨今、こうしたコスト評価を行える環境を作っておくことも、ひとつのリスクヘッジとなるのではないだろうか。