無償のスパイウェア対策だけで本当に安心なのか - (page 2)

柴田克己(編集部) 2006年11月09日 18時12分

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「侵入させない」技術と「取り除いて回復する」技術

 こうした、パターンファイルやビヘイビアをベースとした検知や削除の技術は、多くのセキュリティベンダーが発売しているウイルス対策ソフトにおいても利用されていたものだ。ただ、スパイウェアに対抗するにあたっては、さらに別の技術も必要になると指摘するのが、スパイウェア対策製品の専業ベンダーであるウェブルート・ソフトウェア(ウェブルート)である。

野々下幸治氏写真 ウェブルート・ソフトウェア、テクニカルサポートディレクターの野々下幸治氏。

 同社で、テクニカルサポートディレクターを務める野々下幸治氏は、「ウイルス対策ソフトウェアというのは、基本的にシステムへ『ウイルスを侵入させないための技術』にフォーカスをしたもの。スパイウェア対策ソフトでは、それらに加えて、『既にインストールされてしまった悪意のあるソフトウェアを削除し、インストール前の状態に回復する技術』にもフォーカスする必要がある」と説明する。

 同社は1997年に米国で設立され、日本では、2005年末よりコンシューマー向けのパッケージ製品の販売を開始し、2006年8月には企業システム向けに集中管理機能やレポーティング機能を備えた「Spy Sweeper Enterprise」の日本語版を発売した。「Spy Sweeper」では、PCに勝手にポップアップで広告を表示させる「アドウェア」と呼ばれるものをはじめ、知らぬ間にPCに入り込んでシステム破壊やユーザーに不利益を与えるような活動を行う「トロイの木馬」、利用者に無断で利用状況などを監視して情報を外部へと送信する「システムモニタ」(キーロガーやリモートコントロールツール)などを広義のスパイウェアとして検出、駆除対象にしているという。

 スパイウェア対策ソフトとウイルス対策ソフトでは、必要とされる技術が異なるとされる根拠のひとつは、スパイウェアと呼ばれるソフトウェアの多様性がある。スパイウェアの中には、ウェブ上でで配布されているフリーウェアやシェアウェア、動画のコーデックなどに組み込まれ、それらと同時にインストールされるものもある。中には「無料のセキュリティソフトである」との触れ込みで配布され、実際にはユーザーのPCに存在しないスパイウェアやウイルスを検知してみせて、「駆除を行うためにはクレジットカードで代金を支払え」と要求するといった詐欺まがいの動作を行うものもあるという。

 こうしたスパイウェアは、インストールされる前には「普通の無害なプログラム」を装っているため、いわゆるパターンファイルベースのみでの発見は難しいことが多い。また、インストール後に有害なソフトウェアであることが分かった場合にも、通常の操作では正しくアンインストールできないものが多いため、スパイウェア対策ソフト側で、システムに害を与えない形で削除し、インストール前の状態に戻してやる必要があるというわけだ。

 ウェブルートでは「Philias」と呼ばれるスパイウェア巡回システムを用いて世界中のウェブサイトに潜むスパイウェアを調査し、独自のデータベースを構築している。ここに集められた膨大なデータを、最新パターンファイルの迅速な提供や機能強化に利用しているという。

 スパイウェアによる情報窃取や詐欺的ソフトウェアによる直接的な金銭被害はもちろんだが、むしろ意図しない不正なソフトウェアが入り込むことによって、システムが不安定になり、それに対応しなければならないサポートコストの増大も無視できるものではない。現在はむしろ、そうしたスパイウェアによる間接被害のほうが大きいだろうという予測もある。

 こうした被害を最小限に抑えるためには、対策ソフトの導入と定期的なアップデートだけでなく、ユーザーに対する啓蒙、基本的なセキュリティポリシーの策定や徹底なども重要になってくるだろう。

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