Vistaに組み込まれている互換性モードは、従来のWindows向けのアプリケーションをインストールし、実行させるのに役立つだろう。Microsoftは、VistaのUser Account Control(UAC)の機能を利用するために拡張の必要が生じうるアプリケーションを特定したり、そういったアプリケーションを改良したりするために役立つ「Application Compatibility Toolkit」を用意している。
また、互換性のないアプリケーションに対処する手段として「Virtual PC」や「Virtual Server」「Terminal Services」を利用することもできる。
そして重要な点としては当然、ミッションクリティカルなアプリケーションを事前にテストし、Vistaとうまく連携することを確認する必要がある。また、うまく連携できない場合にはそのアプリケーションを他のものでリプレースするか改良する必要も生じる。アプリケーションの互換性に関するリソースとしては、このページを参考にしてほしい。
#5:ネットワークインフラの検証も忘れずに
Vistaへのアップグレードにあたって、ネットワークインフラのアセスメントを行う必要性はないが、アップグレードはIPv6へ移行するよいきっかけになるかもしれない。Vistaでは、IPv6へのサポートが大幅に強化されている。Windows XPとWindows 2003の初期出荷版では、IPv6を利用するために別のプロトコルをインストールする必要があったが、Vista/Longhorn ServerのTCP/IPスタックではIPアーキテクチャとしてv4とv6をサポートしており、いずれもデフォルトで利用可能となっている。
IPv6に移行する理由は数多くある。IPv6に移行することによってIPセキュリティを強化できるだけでなく、NAT(Network Address Translation)越え問題を解決できるし、ビデオやオーディオをアプリケーションに取り入れるのも容易になる。
#6:誰がVistaを必要とする(あるいは必要としない)のか
あなたは、会社のデスクトップシステムすべてをVistaへと一気にアップグレードすることを望まない、あるいは必要としていないかもしれない。事実、大企業におけるオペレーティングシステムのアップグレードは段階を踏んで行うべきだという声を多く耳にする。
ただし、アップグレードをランダムに始めてもよいわけではない。その展開計画においては、どのユーザーがVistaの新機能を最も享受できるのかをアセスメントするべきである。Vistaのセキュリティ強化を最も必要としている、または適用優先度の高いユーザー部門を抽出するのだ。
主に文書作成や表計算プログラムを使うためにコンピュータを利用する事務部門の人員は、現行のオペレーティングシステムを当分の間使い続けても十分満足できるし、生産性も維持できる可能性がある。
#7:ユーザーはVistaに移行する準備ができているか
新しいオペレーティングシステムを導入する際には、コストやハードウェア、インフラといったことを考慮することも重要ではあるが、人という要素を忘れてはならない。コンピュータユーザーの中でも、新しいテクノロジを積極的に受け入れ、先を争うようにして試したうえで最新かつ最高のものを会得するのが待ちきれないというユーザーは少数だ。大半のユーザーは、人間の性質のとおり、よい結果をもたらすものであっても変化をなかなか受け入れない。