新しいオペレーティングシステムにアップグレードする場合には、どれだけ直感的に操作できる作りのソフトウェアであっても常に学習期間が必要となる。そしてVistaでは、いくつかの分野でインターフェースが大幅に変更されているとともに、ITにそれほど詳しくないユーザーをイライラさせかねない新たな操作方法もいくつか導入されている。
例えば、VistaのUACは管理者権限を必要とするタスクの実行時には必ず(ユーザーが管理者としてログインしていても)ダイアログボックスを表示するようになっているため、Vistaに初めて接するユーザーはそれに混乱したりイライラしたりするだろう。
教育や訓練、そしてユーザーの観点から移行を必要以上に困難にしないようなポリシーを通じて、ユーザーを移行に備えさせることは重要である。例えば、ユーザーが希望する場合には、クラシックWindowsスタイルの慣れ親しんだデスクトップデザインを選択できるようにしてもよいだろう。
#8:サポート担当者は移行への準備ができているか
新しいオペレーティングシステムを導入する前に準備を必要とするのはエンドユーザーだけではない。ヘルプデスクやITサポート担当者は、質問や支援要請を数多く受けることになる。彼らは、たとえよく訓練され、新しいオペレーティングシステムに完全に精通していたとしても、通常よりも格段に多い量の仕事に対応する準備を整えておく必要があるのだ。
また、アップグレードの作業中とその直後には、サポート担当者を増員することを検討した方がよいかもしれない。
#9:データは安全か
アップグレードのすべてがうまくいけば、あなたの貴重なデータはどれも全く影響を受けないはずだ。しかし、何かがうまくいかなかったとしたらどうだろうか?最も基本的でありながら見過ごされることの多い考慮点として、「万が一に備えて」すべてのデータをきちんとバックアップしておくということがある。これは単に、バックアッププログラムを実行し、テープを毎週掛け替えるという意味ではない。こういったバックアップが、必要となったときに確実に役に立つよう、あらかじめリストアのテストを行うことも含まれる。
#10:実際のコストはいくらになるのか
アップグレードを行うためのコストがいくらになるかという計算は、その他のことすべてを考慮して初めて行えるようになる。合計金額はライセンス料よりも格段に高くなるということを忘れないようにしよう。アップグレードのコストには、必要になるハードウェアアップグレードや、アプリケーションの修正(あるいはバージョンアップや新たなアプリケーションへの移行)、(場合によっては)ネットワークインフラ設定の変更、アップグレードの展開を支援してもらうために雇うコンサルタント、ユーザー訓練(訓練を受けるユーザーが通常業務を離れている間の生産性低下分も含む)、サポート担当者やIT管理者の訓練費用、アプリケーションの互換性テストやバックアップテストなどの準備すべてにかかる管理部門の間接コストも含まれる。
現実的なコストを見積もることで、それに見合うだけの利点がアップグレードにあるかどうかを合理的に判断することができるようになる。自分の会社がVistaに移行するよりもWindows XP(あるいはWindows 2000でも)をもう少しの間使い続け、1本目あるいはそれ以降のサービスパックを待つ方がよいどうかを判断できるようになるのだ。