M・デル氏CEO復帰が意味するもの--デルは何を見誤ったのか? - (page 3)

文:Tom Krazit(CNET News.com) 翻訳校正:編集部

2007-02-02 13:46

 同様に、最近のPCの購入者は、システムの外観や印象を重視し始めており、何の変哲もないハードにはあまり関心を示さない。Dellはこれを認識しており、派手な「XPS」ハイエンドPCシリーズを発売しているが、主力シリーズの刷新に着手したのは2006年後半になってからだった。このデザイン構想は、製品デザインの神様John Medica氏がかつて統括していた。

 Medica氏は11月、CNET News.comに対し、「小規模企業や消費者が製品デザインに寄せる期待に変化が見え始めている。将来的に、このような特定の顧客の期待に応える製品を投入する可能性は非常に高い」と語っている。

 AMDプロセッサに対する需要は2005年を通じて高かった。これは、Dellが優先的に採用するIntelに比べ、AMD製品がパフォーマンスで優位に立っていたためだ。しかしRollins氏は、2006年までIntel製品に固執し続けた。Intelは、そのころになってAMDのパフォーマンス上の利点を消し去る新設計のチップを投入し始めた。だがDellは、ライバル各社より大幅に遅れてAMDを採用し、反撃に出ようとする長年のパートナーIntelを疎遠にしてしまった。

 また、業界がノートPCへ移行するなか、数年来Dellが優位を保ってきたコストメリットはあまり重要な意味を持たなくなった。ノートPCは、アジア地域のサードパーティーによって製造および組み立てられるのが一般的だ。ところが、Dellは自社ノートPCを社内で組み立てることにしたため、実際には競合各社よりコスト高になる状況が生まれていた。

 また、Rollins氏が辞任する数カ月前からベテラン幹部が次々にDellを離れていった。Medica氏、中小企業担当営業トップのJoe Marengi氏、そして最高財務責任者(CFO)のJim Schneider氏は、いずれも在籍期間の長いベテランだが、厳しい1年を過ごしたのちに辞任、もしくはその意思を表明している。一方で、その多くがハイテク業界以外の人材である新幹部らが、同社に新風を吹き込むことを期待して加わっている。

 Rollins氏にとっては不幸なことだが、同氏が残した最大の遺産は、不正会計処理問題から生じた結果といえるかもしれない。Dellの双頭体制における事業面での同氏のモットーは、自らとSchneider氏で公明正大な会計に対する責任を負うことだった。だが、両氏ともすでにDellを去っている。

 Michael Dell氏は、Rollins氏にCEO職を譲る計画を発表したとき、うらやむべき立場にいた。Dellは業績が過去最高を記録し、不正をしているようにも見えなかった。Dell氏は今、Rollins氏がCEO在任時の最後には開始していた同社の方向転換プロジェクトを引き継ぐことで、自身が残した遺産の価値をさらに高めることができるかもしれない。

 Current AnalysisのアナリストであるSamir Bhavnani氏は、「Dellは、この変化により活性化するだろう」と述べ、「この2年間は、仮にMichael Dell氏が現役で活躍していたとしても、かつてCEOだった時と同じような影響力を同社に対して持てなかっただろう。しかし、今なら可能だ」と語る。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

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