データウェアハウスは情報集約の仕組みから意志決定サービス基盤へ--Teradata Universe開催

井村禎章

2007-03-09 23:38

 3月9日、都内のホテルで日本NCRテラデータ事業本部の年次カンファレンス「Teradata Universe Tokyo 2007」が開催された。

 Teradata Universeは毎年この時期に開催され、データウェアハウスを中心とする同事業のビジョンと実績が語られる場として定着した感がある。今年は、米国本社がNCRからスピンオフするという発表を受けてからの開催で、同社の方向性に注目が集まった。

 日本NCRの細井英樹社長の挨拶に続いてスピーチした米国本社のシニアバイスプレジデント、Mike Koehler氏は、ここ数年間同社の売上が右肩上がりに増えている実績を強調し、「(スピンオフによって)世界のトップ10ソフトウェア企業に仲間入りする」と話した。

 その同社は今回、「Active Enterprise Intelligence(AEI)」という新しいコンセプトを打ち出した。これは、エンタープライズデータウェアハウス(EDW)、アクティブデータウェアハウス(ADW)と続いた同社の技術をさらに拡張し、ビジネス寄りのメッセージとして再定義したものと言える。

 「AEIによって、サプライヤーや顧客が必要とする情報にアクセスできるようになる。意志決定を毎日、毎分、毎秒という単位で行うことを支援し、企業のナレッジとインテリジェンスを解き放つために不可欠な仕組みだ」(Koehler氏)

 技術的な方向性をわかりやすく解説してくれるのが、おなじみの米国本社CTO、Stephen Brobst氏だ。

 Brobst氏は、「多くの人はリアルタイムの定義について、すべてを1秒未満に処理することと認識している。しかし、それは誤りだ。ライトタイム(適切な時)とした方が正しい」と口火を切り、「私は、ガートナーの定義を気に入っている。それは、“リアルタイムとはビジネスプロセスの遅れを排除する”というものだ。リアルタイムは、“ビジネスプロセスにとってライトタイムであること”なのだ」と話す。

 AEIについては、「意志決定サービス(Desicioning Service)」という言葉を使って巧みに解説した。AEIでは、ADWで打ち出したアクティブをさらに進め、全社からライトタイムに集約したデータを意志決定サービスとして現場が利用しやすい形態で配布する。いわゆる「リアルタイムエンタープライズ」を実現する基盤であり、そのデータウェアハウスからのアプローチと考えればわかりやすい。

 つまり、これまでデータ集約基盤として位置づけられていたデータウェアハウスに、アクティブ化という要素を加え、それを意志決定サービスの配信基盤へと進化させる。業務システムと統合/連携し、データを取り込むだけでなく、全社に配信する仕組みを実装するわけだ。

 その技術的な要件は、リソース配分を最適化してパフォーマンスを高める「Teradata Active System Management(TASM)」や、さまざまなシステムへのインタフェースのサポートなどによってクリアしてきた。

 企業がAEIの実現に至るには、長期の取り組みが必要になるとBrobst氏は言う。レポーティングから始まって、ドリルダウン検索、Predictive Analyticsの実現、その次がデータウェアハウスと業務システムとのシームレスな統合/連携だ。最後には、意志決定の自動化という新たな領域が待っている。

 「2007年、あらゆる組織はADW/AEIへの旅を始めなければならない」(Brobst氏)

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  2. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  3. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  4. セキュリティ

    いま製造業がランサムウェアに狙われている!その被害の実態と実施すべき対策について知る

  5. セキュリティ

    VPNの欠点を理解し、ハイブリッドインフラを支えるゼロトラストの有効性を確認する

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]