品質管理の手法として多くの企業が採用する「シックスシグマ」について、言葉の意味と目的、適用できる範囲、そして適用する方法の概要をQ&A形式で紹介する。
--シックスシグマって、何かの呪文のこと?
まさかご冗談を。
--シグマとか、シックスってどういう意味なの?
統計用語だよ。「シグマ」は標準偏差の計算に使う記号なんだ。ちなみに大文字のシグマ(Σ)のほうは、Excelでは、合計を計算するときの記号だよね。シグマは製造業やサービス業での欠陥件数を示すもので、ふつうはプロセスと関係している。たとえば、100万個のうち欠陥が3.4個を超えないようにするといったふうになる。シグマの値が大きくなるほど、欠陥に対する水準は厳しくなるんだけど、6シグマが標準的なんだ。
--つまり、どういうこと?
要するにシックスシグマっていうのは、分野を限らず、多くの企業で採用されている品質管理手法なんだ。たとえばメーカーが欠陥率をこれこれの水準に抑えたいとする。そんなときに、シックスシグマを基準にすれば、自社の水準がわかるわけさ。ある装置を100万台出荷する場合、欠陥品が3つか4つを超えることはないとわかっていれば、安心だろ。ただね、明らかに多くの業界ではその欠陥率ですら高すぎるんだよ。
--シックスシグマは誰が考え出したの?
この分野は、専門家や学者達が膨大な時間をかけて、研究に研究を重ねてきた分野なんだ。誰が始めたかについてははっきり分からないが、このアプローチはMotorolaが1980年代に先鞭をつけたとする向きが多い。他の大企業も続々とこのアプローチを採用したんだが、とりわけ目立ったのがGEだ。こういった動きは、その当時巷にあった品質管理アプローチの数々を応用したものだということで、ほぼ意見が一致している。
--で、その狙いは?
顧客満足度が向上して、その結果シックスシグマ手法を使った企業の利益が上がるというシナリオだ。
--これがどうしてIT分野で重要なの?
Motorolaという名前を見て早合点しないように。その質問には2つの面からの答えがあって、Motorolaの場合は両方に該当する。まずITベンダー、特にハードウェアメーカーはシックスシグマを使うことが多い(もちろん、ソフトウェア開発でもシックスシグマは間違いなく有効だ)。ベンダーは最初から全く機能しないような欠陥品をパートナーや顧客に引き渡すことを回避したいから、品質の高い生産が欠かせない。
同時に、ハイテク関連の大企業の製品を使う企業はシックスシグマ以上の品質レベルを達成できることになる。
--製造部門や製品に限った話ではないんでしょう?
その通り。シックスシグマはこれらの分野で最も良く耳にする話なんだが、サービス業にも適用できる。
--たとえば?
インターネット接続を例にとれば、期待されるアップタイムはシックスシグマの評価指標に照らし合わせることもできる。