万川集海 第12回:長いものには巻かれろ--テープのお話

渡邊輝江(日本IBM)

2007-04-05 08:00

レトロブームじゃないけれど

 最近よく一昔前に流行った曲がテレビや街に流れているので、その頃を懐かしく思いつつ押入れからカセットテープを取り出す。擦り切れたテープから流れる思い出の曲を聴きながらふと思う。「このアルバムのCD買おうかなぁ」「それともダウンロードしようかなぁ」「もうテープって時代じゃないもんねぇ」。ちょっと待った。最後のその一言、それは本当に正しいのか。テープは本当に時代遅れなのか。

 その答えは、ある世界ではYESだが、ある世界ではNOである。YESの世界は、ご存知の家電製品。確かに、DVDやメモリー型など次々と現れる新しいメディアと比較すると、テープは使い勝手が悪く敬遠されて当然だ。では、NOの世界はどこにあるのか。それは、日常生活ではとりたてて意識しない場所にある。そこでは、冬場のインフルエンザウィルスの如く、テープが猛威を振るって増殖中なのである。

銀行強盗が見たものは

 「銀行強盗」なんてものが普段の日常生活で身近な方はそうはいないだろう。ここからは、そんなある銀行強盗の一味のお話だ。ある日、親分と2人の子分の銀行強盗は「万川集会銀行」に忍び込むことに成功し、今まさにお宝を手にすべく金庫の前にいた。

子分A: 親分、金庫には金の延べ棒がザックザックでっせ。

親分: おお。それを残さず戴いて、明日には高飛びだぜ。

 そんなことを言いながら、見事な技で子分Aは金庫の扉を開けて見せた。扉を開けたら、そこには黄金色に光る金の延べ棒…… ではなく、色黒のプラスチックの塊がずらりと並んでいた。

子分B: お、親分。これは何なんすか? 金じゃないっすよ。

親分: こ、これはテープだ。なんでテープがこんなにいっぱい。

子分A: テープって、親分がよく演歌を聴いているやつですかい? それとも、姐さんに内緒でレンタルビデオ屋から借りてくるやつですかい?

親分: そんなんじゃねぇ。テープはテープだが、これはデータを入れておくテープだ。この中には、音楽でも、映画でもない、データが入っているんだ。

子分B: データって、なんのデータです? それが何で銀行の金庫なんかに???

 子分の問いかけに、親分が説明を始めた。この親分、見かけによらず物知りなようである。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]