「オープンソースよりオープンスタンダード」ミックス型で選択の幅を広げるのがベンダーの役割--富士通 - (page 2)

宍戸周夫(テラメディア)

2007-04-09 00:47

プロダクトとサービスをミックスする

 こうした同社の取り組みの背景について石田氏は、「OSSそのものをどう捉え、どのようにビジネスとしていくかという形がさまざまあります。表面上は同じことをいっているようですが、本音のところはいろいろ違うようです」と話す。

 OSSビジネスの形は、プロダクトとサービスをミックスしたソフトウェアのビジネス形態のひとつだ。

 「プロダクトを販売すればそれでビジネスになるというものではありません。プロダクトにまつわるサービスを提供する、またはプロダクトを足がかりにしてサービスの収入を上げるということだと思います。オープンソースのビジネス形態はいろいろ考えられていますが、ひとつの例として、プロダクト側で収入を得ず、すべてサービスでビジネスをするということがいわれています。しかし、ソフトウェアビジネスというものは、プロダクトとサービスをどうミックスしてやっていくかという方向に行っているのです」

 サービスというものは、顧客に何かを保証することだというのが石田氏の考えだ。

 「OSSがすでにあり、それにサービスを加えて提供するというのと、1からプロダクトを作って、それをサービスとして提供するのではだいぶ違います。それをどうミックスするのかは、ソフトウェアビジネスそのものだと思います。ただ、OSSのようにソースをオープンにするかたちでビジネスをするのと、ソースはオープンにはしないが、インターフェースや品質を保証するビジネスとは、それほど変わらない面もあります。つまり、オープンソースと商用、またはアカデミアの世界とビジネスの世界というような対比で語るものでもなくなってきていると思っています」

 ここで石田氏が強調したのはOSSというより、オープンスタンダードという考え方だ。

オープンスタンダードが基本

 「お客様の要求はオープンソースなのか、オープンスタンダードなのかということが世の中でいわれますが、われわれも一番の基本はお客様の財産を守るという意味からいって、オープンスタンダードだと思っています。そしてその中にオープンソースという形もあるのだろうと思っているのです」

 そのオープンスタンダードの形態もいくつかある。たとえば、国際的な組織を作って各ベンダーが集まり、相互運用性などを保証する仕様書を策定するというもの。その仕様書に基づいて各ベンダーがプロダクトを開発すれば、その相互互換性は保たれる。

 同時に、業界の中で自然とできあがってくるスタンダードというものがある。いくら業界のベンダーが集まって協議しても、市場が自然発生的に決めた標準にはかなわないというケースはある。いわゆるディファクトスタンダードだ。

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