(前回よりつづく)
会社に入ろうとした私は声をかけられた。頭の中は昨夜制作したオフィスの今後でいっぱいだったので、反応が一瞬遅れた。声をかけてきたのは、Second Lifeの話題で以前盛り上がった、大学時代のサークル仲間で今は会社の同僚の女性だった。
突然、私は昨夜作った自分の制作物を彼女に見せたくなった。きっと短期間で技術が上達した私を見て彼女はびっくりするに違いない。そしてふと気づいた。昔はクリエイターとなりたかった私の心に芽生えた、新しい感情を。「自分の制作物を見てほしい」という感情だった。
私が実際に制作していたのは、そんなに長い時間でもない。そして、コツさえ飲み込めればこのSecond Lifeのツールは、今まで数万から数十万払って作っていた3次元の世界を、無料で思い通りに構築させてくれる。私は制作している間、会社のことはほとんどそっちのけで楽しんでいたに違いない。
個人として使う場合でも、会社として支店を作る場合でも、楽しめて役に立ち、個人の創造性を発揮できるツール。それがSecond Lifeの3次元ビューアソフトだ。私は改めてそのツールの可能性にわくわくした。
前回の復習
さて、前回はシーネットネットワークスジャパンのSecond Lifeオフィス(Cyber Adventure 118, 30, 31)に与えられた目的の4番目である「Second Life内でメディア企業が必要とする機能の設置(メディア企業としての機能設置)」を考え、「カンファレンスルーム」を地下に設置した。その際、客席数を考えたが、それはSIMへの入場制限と密接に結びついていた。
また、客席の階段を作成するときには、アバターを使ってリアルタイムで移動する際の注意点を考慮する必要があった。それはデータの遅延だ。データの遅延により、個々のPC環境において移動がスムーズになる場合や、移動すら難しい場合がでてくる。例えば、「前進のキーを押したのに、なかなか前進しない、何回も押していたら、データが画面に反映していないだけだったので、進み過ぎてしまった」というような場合である。
新規ユーザーは通常、操作方法に慣れていない場合がほとんどだ。そのため、アバターが移動する通路を狭くしたり、階段を設置したりする際には、この点を考慮する必要がある。今回は「手すり」を階段に設置した。
さらに、カンファレンスルームには「講演者席」や企業PRのための「バックパネル」などを設置した。
上記の作業により、地上階の床のスペースを広げ、さらに、地下に下りる階段を設置する必要が実はでてきた。オフィスの拡張をしていると、いろいろと他の部分との整合性を調整する作業が必要になる。今回は、それらを見ていこう。
整合性調整
それでは整合性調整のために、何を追加する必要があるだろうか。ざっと考えてみると、次の2つを追加する必要がある。
- 地上階の「床スペースの拡張」
- 地下へおりる「階段」
まずは地上階の「床スペースの拡張」から見ていこう。
地上階スペースの拡張--「テラス」の作成
地上階の床スペースを広げる必要がある。それでは、何を作ろうか……。オフィスの基本機能は完成しているので、基本的には何を作ってもよい。ならば、「テラス」を作ってみよう。