オープンな環境をどう生かすか
さらに中原氏は、「OSSを推進するためには人が重要だという意識を売り手も買い手も持たなくてはならない」と指摘する。
「大学の人材教育を見ても、大学の先生は『こんなにいい学生を育てたのに、それを採用する企業側が分かっていない』と言います。それに対して企業は『大学を出ただけでは使い物にならない』とも言います。お見合いが失敗しているのです。そこで、双方のマッチングに必要な人材定義を行うために、OSS推進フォーラム/IPA OSSセンターの中でも人材の需要調査を行い、標準カリキュラムの作成を進めています」(中原氏)
そして、OSSの技術者を目指す学生には、積極的なコミュニティへの参加を訴える。
「結局、OSSを使いこなす能力があるかどうかがポイントになるわけです。昔と違い、今はインターネットが道具として定着し、オープンなものを自由に使える環境が整っています。その環境の中で使えるものを使い切る、という意識を持つか持たないかの差だと思うのです。オープン化によって、だれでも参加できる環境がある。そこに入っていくモチベーションを持つかどうか。今はPCでもUNIX(Linux)が使えるのです。その自由度を、自分のために生かしたいと考えてほしい」(中原氏)
IBMが目指すのは、その自由な環境にとけ込み、発展に貢献することだという。
「IBMは、『オープン』であることによって無限に広がる可能性があることを理解しており、そのインフラ部分、つまり『オープンスタンダード』に対して貢献したいと思っています。自らの製品を守るのではなく、いかにオープンの世界に融合するか。インフラ部分について戦うのではなく、いかに融合していくかを考え、イノベーションを実現していくのがわれわれの仕事です」(中原氏)