それでは通信をするにあたり、何をどれだけ合わせれば良いのだろうか。ここで、皆さんがよく目や耳にするOSI参照モデルが登場する。
OSI参照モデルでは、プロトコルについて物理層、データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層、セッション層、プレゼンテーション層、そしてアプリケーション層の7階層で表現されているのを目にする機会が多いと思うが、実は文献によって階層の呼称や階層数が違う。階層とは、プロトコル設計や勉強する時の、あくまでも「ガイドライン」なのだ。よって、本連載では実用性を観点におき、物理層(レイヤ1)、データリンク層(レイヤ2)、インターネット層(レイヤ3、ネットワーク層とも言われる)、トランスポート層(レイヤ4)、アプリケーション層(レイヤ5-7)の5層で説明する。
「さて、物理層とは」と早速入っていくつもりだったが、それは次回のお楽しみとしよう。かといって、ここで「はい終わり!」と切り上げてしまうのも感じが悪いので、最後に「そもそもなぜ階層ごとに分けるのか?」について話したいと思う。
なぜ階層を分けるのか。それは、複雑なネットワークの構造を分かりやすくし、管理面の容易性を高めるという狙いが起因している。ご存知の方は多いと思うが、インターネットに代表されるデータ通信は、「0」と「1」を並び換える電気信号により成り立っている。ケーブルの銅線(光ケーブル)にその信号を通すなど、どちらかというと電気工学的な色合いが濃い。
一方、ブログやSNS、HTMLベースのホームページなどの製作は、情報処理学に近い。そのアプリケーションを一見相反する電気信号にまで変換するのだから、どれ程複雑なのかおわかり頂けるだろう。しかもその電気信号を、遠隔にある目的地まで正確に送るのである。実に複雑である。そこで、その構造をわかりやすくするため階層を分け、階層毎にルールを設けている。だからこそ、ある階層部分を変更したとしても他の層には影響なく、管理面からいっても非常に便利なのである。
次回は、各階層(レイヤ)について説明する。
筆者紹介
宮本健一(みやもと けんいち)
ノーテルネットワークス エンタープライズアンドチャネルズ営業本部
エンタープライズマーケティング プロダクトマネジャー
担当製品:
L4-7スイッチ、セキュリティ製品、他
経歴:
1998年某大手通信事業社入社。法人営業、通信機器マーケティングを経て、2005年11月ノーテルネットワークス入社。現職へ。
一言:
Web 2.0、SOA、SaaS等とアプリケーション分野では新たな波が押し寄せており、それを支えるネットワーク分野も革新が行われています。新たなテクノロジーによる、新たなマーケットの創造を考えつつ、自分の知らない世界(分野)については、こっそりと「超基礎」コーナーから勉強する。そんな日々のギャップを密かに楽しんでいる今日この頃です。