「ラックマウントのサーバかブレードかは、顧客の要求によって決まるもの。どちらを選ぶにしても、サンならば性能面での妥協は一切ない」
サン・マイクロシステムズ マーケティング統括本部 プロダクト・ストラテジック・マーケティング本部 システムズ・マーケティング・グループ 専任部長の的場謙一郎氏は、サンのブレードサーバがラックマウントの性能とブレードの効率性という、双方の「いいとこどり」をした製品だと説明する。
ラックマウント型のサーバであれば、最新、最速のCPUが搭載され、メモリ容量も大きくI/O性能も高い。これに比べ従来のブレードサーバでは、電力や冷却の効率、管理性、保守性などは高いものの、高密度化の代償で性能を犠牲にし、一世代前あるいは低消費電力型のCPUが採用されたり、搭載できるメモリ容量もデスクサイドやラックマウントのサーバに比べかなり少なかったりするのが普通だ。
「サンが相手にしているのは2ソケットの他社ブレードサーバではなく、4ソケットのラックマウントサーバだ」と的場氏は言う。
要は、サンのブレードサーバは現在主流の2CPUの他社ブレード製品と競合するものではなく、4CPUを搭載する性能の高いラックマウントサーバと比較してほしいというのだ。
ラックマウントと同じものを集約する
ラックマウントサーバの性能、機能をそのままブレードサーバに持ち込んでいるため、サンのブレードサーバは決して小さく高密度化されたものではない。最上位に位置する「Sun Blade 8000 Modular System」は、結果的には19Uのシャーシ高となっている。
この19Uのスペースに搭載できるサーバモジュールは10台。他社ブレードサーバに比べ、シャーシの大きさの割に搭載できるサーバ数は少ないが、サーバモジュールには4つのデュアルコアAMD Opteronプロセッサが搭載できる。つまり、1つのモジュールで8コア、シャーシ1台で合計80コア構成となる。19Uなので、40Uのラックであればこれを2台搭載できる。
1台のモジュールに搭載できるメモリも16DIMMスロットで、最大64GBと余裕がある。モジュール内に2台の2.5インチハードディスクドライブを搭載でき、PCI Expressのスロットも6つ、さらにそれぞれにVGAやUSBポートも搭載されている。これなら、まさに最新のラックマウントサーバと比べても全く見劣りしない。
より高密度な演算を行いたければ、「Sun Blade 8000P Modular System」もある。こちらはI/Oの拡張性を若干犠牲にすることで、14Uの高さとなっている。つまり、40Uのラックなら3台搭載でき、合計240コアという高密度な演算性能を発揮する。
もちろんラックマウントと同じものを、レイアウトを換えて搭載しているだけではない。集約しつつ信頼性、可用性を上げる仕組みは他社ブレードサーバと同様だ。例えば、電源装置は10台のサーバモジュールに対し6つ搭載され、うち3台が動いていれば稼動可能だ。シャーシ全体を管理するCMM(Chassis Monitoring Module)が搭載されており、冷却ファンの故障やシャーシ内の温度管理、I/Oモジュールの切り替えなどもリモートからすべて管理できる。ほとんどのモジュールは電気的にはホットプラグに対応し、オンラインのままで交換や拡張が可能となっている。
また、シャーシのミッドプレーン(他社ではバックプレーンと呼ぶことが多い)は、耐障害性を考慮し特に機能を持たせていないとのことだ。単純にI/Oの口であるPCI Expressと電源をつなぐだけとし、故障の要因を削減する。I/Oに関しても、十分な数と大域が提供されている。運用管理についても、ブレード、ラックマウント型が混在するような状況であっても、従来と同じ管理ツールで一元的にリモート管理が可能となっている。