Free Software Foundation(FSF)は不運なことに、16年ぶりの改定となるGNU General Public License (GPL) version 3を、AppleのiPhone発売と同じ日に発表することになってしまった。
FSFはすかさずiPhoneの動きに言及し、新版GNU GPLのローンチにあわせて、新ライセンスのメリットを説明し、Appleがこれに違反するのではないかとの懸念を示した。
FSFのエグゼクティブディレクターPeter Brown氏は米国時間6月28日、声明で「AppleはOSであるOS XやウェブブラウザのSafariを、GPLの適用されたコードを使って開発した。GPLの適用されたソフトウェアがiPhoneにどれだけ使用されるのかは、興味深い」と述べている。
この声明の内容が漠然としていると思い、FSFにさらに詳しい情報を求めたところ、iPhoneに何のソフトウェアが搭載されるのか分からないとしたうえで、Joshua Gay氏から次のような回答が戻ってきた。「Appleが端末上のソフトウェアをアップグレードできる一方で、その権限がユーザーに与えられないのだとしたら、iPhoneでGPL 3ソフトウェアを配布することはライセンス違反だ」
iPhoneにGPLの適用されたソフトウェアが使われたとしても、どこかの時点でそれがGPL 3に準拠したものになるかは定かでない。はっきりしているのは、FSFがiPhoneに警戒心をもっているということである。
誰もが自由にソースコードを参照、修正、再配布できるフリーソフトウェアは「根本から業界のありかたを変え、iPhoneに見られるようなプロプライエタリ技術モデルを脅かしている」と、FSFは述べた。米国時間6月29日に「Steve Jobs氏とAppleはプロプライエタリなソフトウェアとデジタルな制限による支障の多い製品をリリースする。支障が多い理由は、所有者のコントロールがきかないでデバイスは、所有者の利益を害するからだ」
特にFSFが非難しているのが、同組織が「TiVo化」と呼ぶ部分。これは、家庭で利用されるビデオ録画機TiVoのように、デバイスにGPLソフトウェアが組み込まれていて、ソフトウェアが修正されると機能しなくってしまうことを意味する。
GPL 3にはこのような動きを防ぐための項目が含まれる。もっともLinuxのカーネルプロジェクトを率いるLinus Torvalds氏は、行き過ぎているとしてこの動きに猛反対している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ