フリーソフトウェア財団、iPhoneの「TiVo化」を警戒

文:Stephen Shankland(CNET News.com) 翻訳校正:編集部

2007-06-30 10:19

 Free Software Foundation(FSF)は不運なことに、16年ぶりの改定となるGNU General Public License (GPL) version 3を、AppleのiPhone発売と同じ日に発表することになってしまった。

 FSFはすかさずiPhoneの動きに言及し、新版GNU GPLのローンチにあわせて、新ライセンスのメリットを説明し、Appleがこれに違反するのではないかとの懸念を示した。

 FSFのエグゼクティブディレクターPeter Brown氏は米国時間6月28日、声明で「AppleはOSであるOS XやウェブブラウザのSafariを、GPLの適用されたコードを使って開発した。GPLの適用されたソフトウェアがiPhoneにどれだけ使用されるのかは、興味深い」と述べている。

 この声明の内容が漠然としていると思い、FSFにさらに詳しい情報を求めたところ、iPhoneに何のソフトウェアが搭載されるのか分からないとしたうえで、Joshua Gay氏から次のような回答が戻ってきた。「Appleが端末上のソフトウェアをアップグレードできる一方で、その権限がユーザーに与えられないのだとしたら、iPhoneでGPL 3ソフトウェアを配布することはライセンス違反だ」

 iPhoneにGPLの適用されたソフトウェアが使われたとしても、どこかの時点でそれがGPL 3に準拠したものになるかは定かでない。はっきりしているのは、FSFがiPhoneに警戒心をもっているということである。

 誰もが自由にソースコードを参照、修正、再配布できるフリーソフトウェアは「根本から業界のありかたを変え、iPhoneに見られるようなプロプライエタリ技術モデルを脅かしている」と、FSFは述べた。米国時間6月29日に「Steve Jobs氏とAppleはプロプライエタリなソフトウェアとデジタルな制限による支障の多い製品をリリースする。支障が多い理由は、所有者のコントロールがきかないでデバイスは、所有者の利益を害するからだ」

 特にFSFが非難しているのが、同組織が「TiVo化」と呼ぶ部分。これは、家庭で利用されるビデオ録画機TiVoのように、デバイスにGPLソフトウェアが組み込まれていて、ソフトウェアが修正されると機能しなくってしまうことを意味する。

 GPL 3にはこのような動きを防ぐための項目が含まれる。もっともLinuxのカーネルプロジェクトを率いるLinus Torvalds氏は、行き過ぎているとしてこの動きに猛反対している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    マンガでわかる脆弱性“診断”と脆弱性“管理”の違い--セキュリティ体制の強化に脆弱性管理ツールの活用

  3. セキュリティ

    クラウドセキュリティ管理導入による投資収益率(ROI)は264%--米フォレスター調査レポート

  4. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

  5. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]