マイクロソフトは7月26日、エンタープライズサービス事業の強化について発表した。代表執行役兼COO兼ゼネラルビジネス担当の樋口泰行氏は、3年目に入ったマイクロソフトの日本における経営方針「Plan-J」の一環として、このサービス事業の強化を取り上げた。
「法人向けの市場は、ソリューションビジネス、サービスビジネスが中心となってドライブしていく。これまでマイクロソフトは、プロダクトアウトの説明が多かったと言われていたが、サービス部門への投資を行うことによって、最終的な付加価値を人の手で届ける体制をさらに確立する」(樋口氏)
この事業強化に伴い、企業、パートナー向けのサポートを提供する「プレミアサポートサービス」、総合的なITコンサルティングを提供する「マイクロソフトコンサルティングサービス」といった既存の各サービスの再構成を行う。
エンタープライズサービス事業を担当する執行役常務の平野拓也氏は、サービスビジネスの重点項目として「“わかりやすさ”と“使いやすさ”の追求」「ミッションクリティカルシステムを支えるサービスの確立」「パートナーとの連携強化」「製品品質・機能の向上」の4点を挙げた。
「“わかりやすさ”と“使いやすさ”の追求」においては、顧客ニーズの多様化やITソリューションの複雑化に対応すべく、「オファリング」と呼ばれるサービスメニューを用意することで、マイクロソフト製品の導入効果を明確にパートナーや顧客に伝えていくという。
この「オファリング」は、顧客サイトや市場で有効と認められた、MS製品の導入事例を整理し、パッケージ化したもの。いわゆる「ベストプラクティス」だ。メニューは7つに分かれた「サービスライン」として提供される。導入前のコンサルティングである「ITアーキテクチャ&プランニング」、導入後のサポートである「サポート&ヘルス」に加え、「コアインフラストラクチャ」「ビジネスプロダクティビティ」「アプリケーションプラットフォーム」「ビジネスアプリケーション」「業務特化ソリューション」の各レイヤに分かれたサービスラインが用意される。
オファリングの例としては「アプリケーションライフサイクルマネジメント」「アーキテクチャ&プランニングアドバイザ」「Windows Vistaと2007 Office Systemによるデスクトップ最適化」「エンタープライズサーチ導入のためのSharePoint Server 2007の展開」などがあり、今後6カ月から9カ月の間に提供が開始される予定だ。
また、ミッションクリティカル分野においては、米国本社の製品開発チーム、営業、役員の協力体制を緊密にすることで、要件定義、基本設計から開発、テスト、運用までを一貫してサポートできる体制を整えるとしている。
マイクロソフトでは、現在300名体制のエンタープライズサービス事業部門を、今後3年間で500人規模の組織に拡大する計画だ。それに伴う、採用活動と人材育成の強化を行っていくという。