あなたの契約しているVoIPプロバイダーはだいじょうぶ?―米VoIP事業者の倒産を考える

文:Deb Shinder 翻訳校正:吉井美有 2007年08月28日 08時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 コンシューマーや小規模企業は、電話料金を低く抑えたい、あるいは固定電話では提供されていない電子メールによるボイスメールメッセージの配信などの高度な機能を利用したいと思ってVoIPサービスに加入する。VoIPサービスに加入した後も、ファクスとの互換性やセキュリティシステム、緊急電話用のバックアップのことを考慮して固定電話サービスの契約を維持する利用者もいる。しかし、大半の加入者は固定電話サービス契約を解約し、VoIPを主な電話サービスとして利用する傍ら携帯電話も補助的に利用している。

 だが、一部のVoIPユーザーは近ごろ、ある朝突然電話サービスを使えなくなるのではないかという不安に駆られ始めている。われわれがVoIPアカウントを開設した際には、そのプロバイダーが予告もなく倒産してしまうという可能性を考える者などほとんどいなかった。しかし、2007年7月初めに、プロバイダーの倒産という事態が現実のものとしてSunRocketの顧客20万人の身に降りかかったのだった。

 SunRocketの倒産は、業界の動向に注意している人間にとっては驚くに当たらないことだったかもしれない。設立3年目の同社はここしばらく財政上の問題を抱えており、その経営状態はどんどん悪化していたようだ。倒産に至るころには、大半の従業員が解雇されていた。しかし、業界の動向に注意を払っていなかったほとんどのVoIPサービス顧客は、当然のことながら発信音がある日突然聞こえなくなってびっくりすることになったのだった。

 さらに悪いことに、1年分のサービス料金を前払いしていた顧客が返金を受けられる望みはなさそうだ。せいぜい、他の特定プロバイダーのサービスに申し込めば優待を受けられる可能性があるくらいだ。多くの顧客は、1年間で199ドルというプランに申し込み、料金を前払いしていた。この価格は1カ月当たりにすると16.58ドルとなり、大半のVoIPサービスの通話無制限プランの1カ月料金よりも格段に安かったからだ。

 現在SunRocketのウェブサイトには「重要なお知らせ」と題して、サービスはいつ停止されるかわからず、すべてのサービスが2007年8月5日までに停止されるという内容の告知文が記載されている。また、文中には「推奨プロバイダー」2社がSunRocketの顧客に対して特別料金でサービスを提供することに同意したとも記載されているが、その2社に関する具体的な説明はない。

救済の手を差し伸べる競合他社

 SunRocketが倒産したというニュースが公になるとすぐに、競合するVoIPプロバイダーはSunRocketの旧顧客に対して、代替サービスの提供と加入受付をこぞって申し出た。人気のあるVoIP会社の大半が、SunRocketの旧顧客を引き付けようと、各社それぞれ以下のような特別価格や特典を発表した。

  • Teleblend:「推奨プロバイダー」の1つであり、1年契約で料金を前払いしていたSunRocket顧客に対して、1カ月当たり12.95ドルという割引料金でサービスを提供する
  • Packet8:もう1つの「推奨プロバイダー」であり、SunRocket顧客に対して、初期費用を無料にするとともに、サービスを1カ月間無料で提供する。同社は、SunRocketに前払いされた料金分のサービスを引き受けることはできないということと、SunRocketの機器は自社のサービスに使用できないということを明確にしている
  • Lingo(Primus):「推奨プロバイダー」に指定されてはいないものの、SunRocketサービス加入者に対して、機器の提供と送付、アクティベーションを無償で行うとともに、サービスを1カ月間無料で提供する。この特別サービスを利用するには、SunRocketの有効な領収書のコピーをLingoに送付する必要がある
  • Vonage:SunRocket顧客に対して、電話アダプタとその送料を無料にするともに、サービスを2カ月間無料で提供するうえ、アクティベーション費用も免除する
  • ViaTalk:他社の顧客(SunRocketの顧客も含む)に対して、自社の1年間199ドルというプランに加入すれば、彼らが前払いしていたサービスを最長3カ月分まで無料で提供するという乗り換えキャンペーンを実施している
  • VoIPYourLife:ハードウェアを無料で提供するとともに、仮想電話番号を無料で提供し、既存の電話番号にかかってきた電話をその番号に転送する
  • Earthlink trueVoice:SunRocketの旧顧客に対して、通話制限無しのサービスを1カ月当たり19.95ドルで6カ月間提供する。当初の6カ月間が過ぎると、1カ月当たりの料金は通常どおりの24.95ドルとなる
  • Nuvio:SunRocketの顧客に対して、キャンセル料金を気にすることなく月間プランに加入し、そのサービスに満足すればプラン変更料金を支払うことなく年間プランに移行できるという特典を用意している
  • BroadVoice:SunRocketからの移行を速やかに行える特別なプロセスを用意していると宣伝している

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連キーワード
運用管理

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]