日本IBMは8月30日、複数箇所に分散するデータを効率的に管理する「グリッド・ストレージ・ソリューション」を9月14日から提供することを発表した。初期導入時の価格は2496万6900円からとなっている。
グリッド・ストレージ・ソリューションは、物理的に分散した複数のストレージ環境を、仮想的に一つの大きなストレージ環境として利用できるというもの。物理ストレージの場所を意識することなく、データの保存、検索や読み出しができる。また、ディスク装置のみならずテープ装置も管理対象にできるため、テープ・ストレージ・ソリューションの暗号化機能や改竄防止機能を活用したデータの保管も可能となっている。
具体的には、レントゲンやCTによる医療画像、CADでの設計図面、報道機関の高解像度写真や動画といった、更新が発生しない参照用の大容量・大量のデータを保管・共有することが必要なシステムで、特に効果を発揮すると説明している。データを分散させることで、障害や災害への対策にも活用できる。
またグリッド・ストレージ・ソリューションは、データの保存場所やアーカイブ方法などデータの保管ルールを、独自に「ポリシー」として設定・実行できるようにもなっている。ユーザー企業の業務に合った柔軟なストレージ環境の構築や、冗長化による障害対策・災害対策も実現できるとしている。
データの新規保管の際、物理的に2箇所に自動保存するというポリシーを設定することで、システム全体を冗長化することなくデータを多重化できる。また、常に1カ所のみへの保管というポリシーを設定すれば、最も参照頻度の高い物理ストレージのみに自動的に保管場所を変更することや、一定期間アクセスのないデータを自動的にテープにバックアップを取って、ディスクから削除という設定をすることで、グリッド・ストレージ全体の容量の最適化が可能になっている。
通常参照している物理ディスクが故障した場合でも、システムからは他のディスクに保管されたデータや、テープへバックアップされたデータを同一のストレージとして参照できることから、データ復元作業の手間を省くことができるという。システムを止めることなく、故障したディスク装置の交換が可能であり、必要な時に必要な分を追加できるため、システムの計画停止も不要になると説明している。
グリッド・ストレージ・ソリューションの構成例は以下の通り。
- 最小初期構成:
グリッドストレージ管理サーバ:IBM System x 3650×4台
SANストレージ装置:IBM System Storage DS4200(6テラバイト)
グリッドストレージ用ソフトウェア「IBM Grid Access Manager(GAM)」一式 - 価格:
初期導入時最小構成価格:2496万6900円〜
ディスク1テラバイトごとの追加価格:51万6600円〜
ディスクは初期構成以降1テラバイト単位で追加が可能
対応するハードウェアは以下の通り。
- グリッドストレージ管理用サーバ
IBM System x 3550
IBM System x 3650 - ストレージ
IBM System Storage DS4000シリーズ
IBM System Storage DS8000シリーズ
IBM System Storage EXP3000 SASストレージ拡張装置
IBM System Storage SANボリューム・コントローラー(SVC)
IBM System Storage DR550