Business Objectsを買収するというSAPの提案は、いくつかの点において興味深い動きである。
- Leo Apotheker氏が以前「のどから手が出るほど欲しい」と表現した10万人という顧客目標を達成するための新しい手段となる。重複する顧客は多いとはいえ、BusinessObjectの4万4000人という顧客数は魅力的である。
- 両社共に欧州を拠点とする。地理的に分散した状態を管理するというSAPの買収における問題点の1つが解決されることになる。
- Business Objectsは、中規模ビジネス市場において強い地位にある。この買収によりSAPは、市場における最も有望な領域の1つとアナリストらがみなすこの分野へと比較的容易に自社の事業を拡大していくことができる。
- 文化的にも相性がよい。フランスとドイツは歴史的にも事業パートナーとして最適である。買収後にはBusiness Objectsの最高経営責任者(CEO)であるJohn Schwartz氏がSAPの取締役会に加わる予定という事実からもそれがうかがえる。Business Objects創設者であるBernard Liautaud氏は、次の株主総会でSAPの監査役会に推薦される予定である。
- Oracleの買収に利点があることは言うまでもない。
Irregularでの筆者の同僚は当初驚いていた。おそらく次のZoli Erdos氏の言葉がそれを最もよく表しているだろう。
SAPのDNAなんてそんなものさ。「SAPは大きな買収はしない」:-)
確かにそうだ。しかし実際には大規模企業向けソフトウェア市場は、SAPとOracleの一騎打ちになっている。Jason Wood氏は次のように述べている。
Business Objectsは優れた企業だが、最近の主要なBIベンダーの製品間にはさほど差がない。もし私がOracleならば、私はいまごろ笑みを浮かべているだろう。なぜならSAPは現在、明らかにOracleの戦略を真似て動いており、そしてこの分野においてはOracleの方がずっと経験が長い。
Wood氏の意見から、SAPが、Schwarz氏を即座に取締役会に迎え入れることによって買収をスムーズに進行させようとしている理由がわかる。Jeff Nolan氏の次の見解からも、それが確認できる。
SAPは、Oracleの戦略には確かに利点があり、ウォールストリートにおけるエンタープライズソフトウェア企業らの状況を考えると、こうした企業らもよい買収相手を探しているというのは飛躍した話ではないということに気付いて、考え方を変えたようである。今回の買収の形態からは、SAPが買収後の統合時における自社の弱みを理解していることもうかがえる。
10月7日に予定されているウェブキャスト後に、さらに本件について掘り下げたいと思う。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ