カリフォルニア州バーリンゲーム発--Microsoftのオープンソースプログラミングに対する攻撃は習慣化している感もあるが、同社が協調的プログラミング運動に対し強い嫌悪感を抱いていると考えるのは誤りだ。
Microsoftは米国時間10月9日、1年前に発表したイスラエルのZend Technologiesとの提携の成果の一部を発表した。Zendは、ダイナミックウェブページを作成するためのオープンソーススクリプト言語「PHP」を開発、商品化している。Microsoftの製品部門担当マネージャーであるBill Staples氏は、当地で開催されているZendConカンファレンスで、以下の4つの成果を発表した。
Microsoftはまず、「FastCGI」をリリースした。このソフトウェアは、Microsoftのウェブページホスティング用ソフトウェアであるInternet Information Server(IIS)でのPHPの動作速度を向上させる。Staples氏によると、FastCGIは場合によっては無償で配布されることもあり得るという。
Microsoftは、データベースである「SQL Server 2005」でPHPの実行を可能にするソフトウェアコネクタのプレビュー版をリリースする。「これは、PHPアプリケーションからSQL Serverデータにアクセスするための、Microsoftが開発し、サポートするPHPドライバだ」(Staples氏)
後に行われたインタビューで、Staples氏は、このSQL Serverドライバの完成時期について、ユーザーから寄せられるフィードバックの内容などによって変わるが、2008年前半になるだろうと語った。
さらにMicrosoftは、Windows Server 2008の必要最低限の部分のみを残したバージョンである「Server Core」でPHPをサポートする。このServer Coreは、必要な機能のみをインストールするというもので、管理の簡易化と、複数のプログラムのインストールに伴うセキュリティの脆弱性の軽減を目的としている。
そして最後に、Microsoftは、ユーザー名やパスワードが増えていくというウェブサイトユーザーが抱える厄介な問題を軽減するための取り組みの一環として、「Information Card」と呼ばれるZend FrameworkのID管理技術をサポートする。
現在、Microsoftはウェブサイトの作成に広く利用されているLAMPスタック(Linux、Apache、MySQL、PHP)の代替製品を提供する取り組みを進めており、今回発表された4つの取り組みは、全体的にその取り組みの重要部分を占めている。MicrosoftがLAMPスタックの代替製品として提供しているのは、Windows、IIS、SQL Server、PHPの4つで、これらの頭文字を取ってWISPと呼ばれることもある。
MicrsoftとZendおよびPHPとの連携は、2つの面で非常に興味深い。まず一方では、開発者数や、WindowsなどのMicrosoft製ソフトウェアを使った高性能ウェブサイトの数が増加する可能性がある。また他方では、PHPが他のMicrosoft製ソフトウェアと直接競合することになる。
実は、これにはMicrosoft自体も驚いている。Staples氏はMicrosoftのIISサイトのPHP関連ページ上で、「Microsoftのコミュニティーポータル上でPHPのロゴを目にする日が来るとは夢にも思わなかったが、実際こうして表示されている」とし、さらに「われわれは、このコラボレーションに大変興奮している」と述べている。
Staples氏はインタビューの中で、Zendとの提携は、顧客からの要望に応えたものだと語った。従来、プログラマーたちはWindowsを使ってPHPの開発を行っていたが、実際のウェブサイトを運営する段階になると別のOSに乗り換えてしまっていた。Microsoftとしては、これらの潜在顧客を失いたくなかった。
Zeev Suraski氏と並ぶZendの共同創設者であり、またSuraski氏とともに同社の共同技術責任者(CTO)を務めるAndi Gutmans氏によると、現在、PHP開発者のおよそ7割はWindowsを使用しているという。しかし、アプリケーションを配布する際には、全体のおよそ8〜9割の顧客がLinuxを使用しているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ