ウェブでセミナーを開いて情報を伝達する“ウェビナー”が盛り上がりを見せている――。ネット証券大手のマネックス証券は1カ月に40回以上のウェビナーを開催し、合計5000人以上が参加しているという。今後も拡大するウェビナーに対応して、そのインフラを支えるITベンダーも動きを見せている。
CDN最大手のアカマイと大学発ベンチャーのブイキューブは11月6日、最大50万人までを対象に、PCと携帯電話に同時にライブ映像を配信するサービスを開発したことを発表した。11月中旬からの商用導入を予定しており、両社によれば、こうした規模での実用サービスは世界でも初めてとしている。
今回のサービスは、撮影された映像がAdobe Systemsのエンコーダ「Adobe Flash Media Encoder Version 2」(FME2)でエンコードされ、PC向けにアカマイのAdobe Flash向け配信基盤「Live Streaming For Adobe Flash」(Live!Flash)でライブに配信、携帯向けにはFME2でエンコードされた映像をブイキューブのオンラインセミナーサービス「nice to meet you セミナー」(N2MYセミナー)でセミナー映像に変換するとともに、映像変換サービス「nice to meet you トランスコーダー」(N2MYトランスコーダー)とイサオが提供するサービス「ムービーフル」でセミナー映像と情報が、携帯電話向けに最適化されて、アカマイの配信基盤を通じて配信されるという仕組みになっている。
先に紹介したマネックス証券では、ウェビナーについて「ウェブをクリックするばかりの受動的なものではなく、その場で顧客から情報を取得できるとともに、顧客へのアプローチが可能な、動的な宣伝媒体としても有用。今後、携帯電話へも配信できるようになることで、コンテンツの可視性がより高まり、参加者が増加できるだろう」と期待を寄せている。
ブイキューブではマネックス証券が開くウェビナーの基盤をサービスとして提供しているが、ブイキューブ代表取締役社長の間下直晃氏は「ウェビナーを受けるPC端末が、たとえば1000台あるとなると、アカマイの配信基盤を活用しないといけなくなる」として、今後拡大するウェビナー市場の盛り上がりに見据えて、アカマイの配信基盤を活用することにした。また「アカマイの配信基盤を活用すれば、端末の増大に合わせることができるとともに、帯域幅が拡大することで、PC端末1台1台に配信する映像をきれいに見せることもできるようになる」という効果もあると説明している。
一方のアカマイ代表取締役社長の小俣修一氏も、同社の配信基盤を活用することで「たとえば1000人を対象にしたウェビナーを同時にいくつも走らせることができるようになる」と語り、ウェビナーを開催しようとするユーザー企業にもたらす効果が大きいことを説明している。
今回のサービスを11月中旬から商用導入する予定としているブイキューブでは、マネックス証券を中心にした既存顧客への導入を働きかけるとともに、セミナーを多く開催する証券などの金融系企業にも積極的に働きかけていくとしている。なお、最大50万人までを対象とする、今回のサービスは、その規模の大きさから、エンターテインメント系企業をも想定ユーザーとしている。