ASP/SaaS事業者登録制度も視野に
摂南大学経営情報学部教授でASP・SaaS部門副委員長を務めた島田達巳氏は、ASP/SaaS部門の総評として、「ライセンス数が前年対比で8割増の伸びを見せる一方、受賞した企業でも、サービスが軌道に乗るまでにはさまざまな創意工夫を積み重ねている苦労が感じられた」と語る。
今後、アワードの選考においては、自治体、医療、教育など、ユーザー別にセグメンテーション化する方向を委員会に提案していくという。また、増加が見込まれるASP/SaaS事業者の実態を明らかにするため、開かれた形での登録制度も準備していることを明らかにした。
一方、IDC部門について、アルファシステムズの常務取締役本部長でIDC部門の選考委員を務めた小澤純理氏は次のように総評する。
「IDCはASP/SaaS、およびICTアウトソーシングの基盤となる重要なインフラ。それゆえ、第1回目の今回は、安全性と信頼性が重点評価の対象としたが、各社のサービスは甲乙を付けがたく、選考は困難を極めた」
「すでに、免震構造の採用や活断層のない高地に建設するなどの地震/防災対策はかなりのレベルで進んでおり、先の首都圏で発生した大規模な停電にも問題なく対応している」と小澤氏。
上位入賞企業では、バイオメトリクス認証を利用した入退出管理、空調を最適化するなどのグリーンデータセンター化、継続的な研修プログラムの実施などの点で評価したという。
わが国の情報投資効率化で大きな期待
また、ASP/SaaS普及を推進し、ASPICの活動を支援する総務省は、政策統轄官の中田睦氏が挨拶に立ち、「従来のネットワークの利用、あるいはアプリケーションの利用の面で新たな局面を迎えている中、ASP/SaaSは生産性向上の観点から非常に重要と考える。特に地域振興や自治体の見直しなど、わが国の情報投資の効率化で大きな期待が持てる」と述べ、今後も支援していくことを表明した。
ASPICでは、次回のアワード2009に向け、評価項目と評価方法の改善と見直しを進めるとともに、何がユーザーに評価されるのか、社会に有益で国際競争力を持つASP/SaaSとは何かといったパラメータを検討する「ベストASP・SaaS研究会」を発足することを発表した。
その研究会での成果を、今後予定する「ASP・SaaS認定制度」や、中小企業向けの活用ガイド、ベンダー向けのビジネス構築ガイドにも反映していき、まだ広く知られることのないASP/SaaS、IDCの発掘に役立てていくという。
