IDCの調査によれば、国内で自社のITにSOAを適用している企業は8%という。この数字を大きいとみるか小さいとみるかはヒトによるだろうが、今後伸びていくことは予想できる。同社は2006年で約2800億円のSOA市場が2011年には約4000億円になると予想している。この予想が達成されるためにはSOAの敷居を下げ必要がある。現在のSOAははっきり言って難しすぎる。
ESBとツールを用意して、既存のコンポーネントをWebサービス化してESBにつなげてくださいというアプローチは、ほとんどのユーザにとって難易度が高い。
こうしたアプローチの元ではユーザーが、データモデルやサービスの粒度、データ変換やルーティングのロジック、複数システムをまたがるビジネスプロセス、コンポジットアプリケーションの画面といったものをすべてゼロから作ることになるからだ。
つなぐ対象とつなぐための要素技術はそろっているが、これらをどう組み合わせてどう作っていくかというモノがない。いわば、Webアプリケーションを、Strutsなどのフレームワークを使わずに作るようなものだ。
この問題は要素技術の提供で解決できるものではなく、フレームの提供やコンサルティングを通じたベストプラクティスの提供が必要となる。27日、オラクルがこうした問題への新しいオファーを発表した。
オラクルはAIA(Application Integration Architecture)という概念を提供してきた。AIAはその名前の通り、アプリケーションを統合するためのアーキテクチャ。
この考え方のもとですでにPIP(Process Integration Pack)という製品が提供されている。これは、たとえば、EBSとSiebelをつなぐためのプロセスがパッケージとして提供されるもの。逆にいえば、オラクルのアプリケーションが導入されていることが前提となる。
同社は今回、これに加えてFoundation Packを発表した。データモデルやビジネスサービス、レポジトリ、テストツール、開発ガイド、コンセプトガイドなどが事前定義された状態で提供される。PIPで用意されていたオラクルアプリケーションむけのプロセス定義は含まれない。
つまり、PIPと異なり、Foundation Packはオラクルアプリケーション以外でも使うことができる。
また、オラクルではSOA Architectと呼ばれる部門を新設、日本ではまだ少ないSOAのプロフェッショナルを集め、導入支援のコンサルティングサービスを始める。さらに、SOA Boot Campと呼ばれるセミナーを継続的に開催、従来より顧客の要求に近い形で情報提供などを行なう。
基盤技術はそろい、導入の必要性も市場である程度の合意が進んでいるSOA。今後はこうしたフレームワーク化や導入支援の提供で敷居を下げることが普及の条件となるだろう。