Smith氏はその後の質疑応答で、Microsoftが特に特許の問題で微妙な立場にあることを認めた。同氏は立場の違いを認識しながらも、対決姿勢を一切見せず、次のように語った。
「われわれは毎日、特許という柵の両側に分かれて暮らしている。この業界で、当社ほど多くの特許訴訟を抱えている企業はない。それでも、われわれは十分な機能を果たす特許システムの利点や価値を信じている」
Microsoftは2008年2月、オープンソース業界との関係改善に着手し、現在では同社製品との通信を取り決める通信プロトコルを公開している。また、これらのプロトコルを使用してソフトウェアを制作したオープンソースプログラマーに対し、法的手段に訴えないことも約束した。Microsoftはさらに、オープンソースソフトウェアと同社製品との相互運用性を高めるため、「Open Source Interoperability Initiative」という取り組みも進めている。
「われわれの取り組みがこれでおしまいだと言うなら、それは間違いだ」(Smith氏)
ここで、Smith氏と一緒に登壇していたSteeleye Technologyの最高技術責任者(CTO)、James Bottomley氏が、Microsoftはオープンソースコミュニティと協力していきたいと言うが、両者のビジネスモデルは明確に異なるのに、どうやって折り合いをつけるつもりなのか、と質問した。
Smith氏は「プロジェクトごとに判断する」と答え、次のように説明した。
「白紙の小切手を取り出してサインすることができないように、あなたの質問には答えられない。それでも、われわれは前進している。さまざまなやり方で貢献することバランスを取ることの一環だと、私は認識している」
Smith氏が世界最大のソフトウェア企業で法律担当の最高責任者という地位についたのは、偶然ではない。聴衆からの質問の中には、からかうようなものや、ふざけたもの、あるいは敵意をむき出しにしたものもあったが、同氏はその並はずれた手腕を発揮してそれらの質問を巧みにさばき、双方の立場を認め合おうという内容の講演を終えた。
「結局、人間は漫画の登場人物とは違い、朝になれば目覚めるし、次第に賢くなる。業界も進化する。あなたがたにとってもそれが望ましいはずだ。漫画の登場人物のように進歩のない人間など、同じ世界に暮らして付き合っていくのは嫌だろう」(Smith氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ