Appleは米国時間6月9日に、「Worldwide Developers Conference 2008」(WWDC 2008)で、.Macサービスを進化させた「MobileMe」の発表を行った。電子メール、カレンダーの予定、連絡先、写真、その他のドキュメントを保存する「クラウド」ストレージソリューションとなるMobileMeは、おそらくMicrosoftの「Live Mesh」や、SugarSyncのようなスタートアップ企業が提供する各種データ同期サービスと競合するものとなる。
提供:James Martin/CNET News.com
MobileMeは、Appleの消費者向けオンラインサービスの.Macに代わるもので、.Macのオンラインストレージが10Gバイトだったのに対して、MobileMeは20Gバイトへとストレージ容量が拡大される。また、新しいiPhoneや、WindowsのPCもサポートされるようになる。
MobileMeによる大きな変更点としては、その同期性能が挙げられる。MobileMeアカウントに送信される電子メールは、iPhoneにもワイヤレスでプッシュされる。iPhoneで撮影した写真は、自動的にウェブベースのMobileMeアカウントへとアップロードされ、友人と共有される。
コンセプトとしては、もはやiPhoneは、自分のデータやコミュニティーにアクセスするための、一手段に過ぎなくなる。もしフルスクリーンのウェブブラウザの目の前にいたり、MacやWindowsのデスクトップを前にして座っていたりするならば、その大きなインターフェースを使用したいと望むだろうし、MobileMeによって、あらゆる作業が、すぐにiPhoneへもアップデートされる。
MobileMeは「残されたわれわれにとってのExchange」であるとも評されており、さまざまなデバイスやウェブ上で、カレンダー機能を共有し、電子メールや連絡先の同期を可能にする、Microsoftの優れた企業向け電子メールソリューションを意識したものとなっている。こうした機能は、だれもが望んでいるものであり、Microsoftは、控え目に表現したとしても、この種のサービスを消費者向けに提供する点で遅れを取った。
MobileMeが開発者に公開されるとの発表はなく、われわれとしては、公開されることはないと考えている。WWDCで発表されたMobileMeだが、もしも開発者に公開されるならば、そこで正式にアナウンスがなされただろう。
MobileMeが7月に提供開始される時に、Appleは現在の.Macのアカウントを、自動的にMobileMeへとアップグレードする。60日間の無料トライアルが提供される予定だ。その後は、Appleに99ドルの年会費を支払うことが必要になる。今でもAmazon.com上では、.Macに69ドルでサインアップすることができ、1カ月以内に自動アップグレードを受けることができそうである。30ドルの節約を望むならば、これは試してみる価値があるかもしれない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ