公衆無線LANを社内LAN環境に取り入れる、企業向けホットスポット新活用法 - (page 2)

梅田正隆(ロビンソン)

2008-06-12 08:00

新サービスも開発中

--個人情報保護法や内部統制の要求により、PCの持ち出しを禁止するなど、企業のモバイル活用にブレーキがかかったようにも感じます。こうした変化は、企業におけるモバイル活用の課題となりますか。

 確かに逆風でした。このような動きにより、一時期企業内のセキュリティポリシーがたいへん厳しくなったのですが、物理的な制限や論理的な制限に関しては、セキュリティポリシーがいったん整理され、落ち着いてきたように感じます。それでも、社外へのPCの持ち出しについては依然として検討課題と言えるでしょう。PCの持ち出しで情報漏えいを心配されている企業には、ホットスポットとシンクライアントのソリューションを組み合わせて提案しています。

 慎重な企業の中には、インターネットそのものに接続したくないといった企業もあります。ホットスポットは、いったんインターネットに接続してIPsecで暗号化あるいはVPNでトンネリングするのが一般的な利用方法ですが、インターネットへの接続をためらう企業に対するソリューションとして、現在ユーザーのログインIDに基づいて接続エリアを制限したり経路を制御したりするサービスを開発中です。

--開発中のサービスについて、もう少し説明していただけますか。

 ログインIDを見て、ユーザーごとに接続可能なエリアを制限したり、回線経路を特定したりするサービスです。例えば、「このユーザーはインターネットには接続せずに、別の回線でデータセンターに接続する」といった制御が可能になります。経路の制御については、アクセスポイントから社内LANに乗り込んでいくようなサービスが一番良いのかもしれません。ホットスポットのアクセスポイントからインターネットにつなぐことなく社内LANへ直接入っていくイメージです。こうしたソリューションを提供できれば、PCの持ち出しやインターネット接続の課題がクリアできるのではないかと考えます。

 ホットスポットは公衆無線LANと呼ばれていますが、使う人を制限でき、使う方法まで制御できるようになれば、専用線のように企業のインフラとしてダイレクトに使ってもらえるサービスになるでしょう。駅や空港からでも専用線のように安心して使える、そんなソリューションと言えます。

--エリア制限や経路の制御といったサービスは、いつ頃提供されるのでしょうか。

 エリア制限については今夏を予定しています。ただ、経路の制御については最終的に顧客のネットワークにつなぎ込むことになるため、どのようなつなぎ方が最善の方法か、顧客の声を聞いた上で仕上げたいと考えています。実際には、どちらのサービスも開発はほとんど終わっています。

 エリアを制限するサービスの利用例としては、打ち合わせスペースなどに設置し、社内LANと完全に切り離して来訪者に利用してもらうといったケースが考えられます。また、複数の社外スタッフが常駐し、社員と混在しているビル内において、誰が何にアクセスできるかをログインIDできめ細かく制御するケースも考えられます。

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