駅や空港などで利用できる無線LANサービスの「ホットスポット」を、自社の無線LAN環境として導入する企業が増えている。いわば、無線LANのアウトソーシングサービスだ。このサービスの詳細と今後の発展性について、NTTコミュニケーションズ ユビキタスサービス部 主査の鈴木研志氏に聞いた。
企業で導入されるホットスポットとは?
--ホットスポットは、いわゆるパブリックスペースで無線LANのアクセスポイントを提供する「公衆」的なサービスだと思っていたのですが、企業が導入することもあるのですね。
ご存じのように、ホットスポットは無線LANを使ったインターネットのアクセスサービスです。2002年5月に商用サービスを開始して以来、駅や空港、カフェなどを中心に展開してきました。今日では無線LAN対応のノートPCが普及したこともあり、堅調にサービスを提供しています。最近ではゲーム機器や音楽プレーヤーにもWi-Fiが組み込まれるようになり、ビジネスだけではなく趣味での利用も増えてきたと見ています。
こうした利用方法は、ホットスポットに対する一般的な認識かと思いますが、実はNTTコミュニケーションズではこのような一般のアクセスポイントとは別に、企業内にも無線LANのアクセスポイントを設置して管理しています。例えば、ある企業では全国50拠点にアクセスポイントを設けており、社内でも社外でも同じようにアクセスできるサービスを提供しています。
--それはホットスポットを社内に設置して、拠点専用の無線LAN環境として利用するということですか。
そうです。企業の場合、セキュリティに関して各社各様のポリシーがありますので、なるべくその企業のポリシーに則した形で専用のアクセスポイントを設置します。いま「なるべく」と申し上げたのは、当社では約4000のアクセスポイントを運営しており、サービスを管理する基盤を既に持っているため、その基盤上で企業向けのカスタマイズを行い、経済的なサービスを実現しているからです。
企業向けのサービスでは、ホットスポットを社内に設置して、社内LANの一部のように利用できます。当社にフルアウトソーシングしていただくサービスですので、機器が故障した場合は当社が修理します。駅や空港のホットスポットと同じように、企業のIT部門を煩わせることはありません。
ほかにも、オークション会場のように、多くの人が特定の期日に集まってくる場所に対するサービスも提供しています。こうした場所でホットスポットを提供することで、会場の付加価値が向上します。