Bill Gates氏はおそらく、テクノロジの世界に最も大きな影響を与えた人物であり、同氏がMicrosoftの常任会長職から退く米国時間6月27日は一時代の終わりを記す日となるだろう。
Gates氏は、PCユーザーに長きにわたり広く浸透している製品を有することで、Microsoftを世界最大級の企業に育て上げた。
しかし、Microsoftはまた、市場を独占している地位を利用した競争抑制的な商行為に対する非難にさらされ、米国の監督機関や欧州連合(EU)との対立がメディアの注目を集めてきた。
では、Bill Gates氏が自らの手でゼロから作り上げた大企業を去ろうとしているなか、同氏が残すものとは何であり、彼の時代はどう評されることになるのだろうか?
調査会社Directions on Microsoftの共同創業者であるRob Horwitz氏は、Gates氏を自動車製造業のパイオニアでありFord Motorの創設者であるHenry Ford氏と比較している。
Horwitz氏は、「Gates氏は、ほとんどの人が知らなかった難解なテクノロジを取り上げ、多くの人とって身近で手の届くものに仕立てるためには、どの様にして作り直し、拡張し、パッケージ化してマーケティングを行えばよいか見いだした」と述べ、「Henry Ford氏が自動車を発明したわけではないように、Gates氏もコンピュータを発明したわけではないものの、この2人に共通する才能は、製品を普及させる方法を見つけ出したということにある」と付け加えた。
Microsoftの専門家であり、ZDNet.comのブロガーであるMary-Jo Foley氏は、Gates氏がテクノロジと慈善事業の双方に功績を残したと述べている。
「Gates氏はテクノロジ分野において、パーソナルコンピューティングを一般的なものにするという目標を果たしたと言える。Microsoftは、消費者や企業ユーザーがほぼすべての机にPCを置けるようにした」(Mary-Jo Foley氏)
Foley氏は、「彼は、数多くのハードウェア企業やソフトウェア企業、サービスベンダーを巻き込んで、Microsoftのソフトウェアを取り巻くビジネス全体を作り上げることで、パートナーとのエコシステムを構築することにも尽力した」とも述べている。
しかし、Foley氏によると、Gates氏は、Microsoftが果敢な攻勢を通じて多数の企業を市場から駆逐するうえで中心的な役割を果たしたともいう。
「こういった企業の一部は、Microsoftが彼らのアイデアを盗んだと主張している。競合企業らは、巨人ゴリアテ(Microsoft)によって市場から締め出されて潰れたのだ」(Foley氏)
Gates氏がどう評されるかに関してFoley氏は、多くの人が、「パーソナルコンピューティング分野の波に乗れるような適切な場所に、適切なタイミングで居合わせた、攻撃的な競争者」として思い出すだろうと述べている。
その一方で同氏は、「市場を独占している地位を利用して多くの不正行為を行いながらも逃げおおせた、情け容赦ない競争者」として思い出す人もいるかもしれないとも述べている。