Oracle VMのパートナー体制強力に:IBM・アシストが参加

大野晋一(編集部)

2008-07-10 19:42

 10日、アシスト、日本アイ・ビー・エム、日本オラクルの3社はを活用した仮想化ソリューションでの協業を発表した。

 オラクルの仮想マシン「Oracle VM」、IBMのハードウェア「System x」「BladeCenter」「System Storage」、アシストの導入・構築や保守・運用支援サービスを組み合わせながら、検証環境や情報提供を行う。この協業により、販売体制は3社併せて100人規模、サポートは30人規模となる。

 Oracle VMの国内発表時、オラクルはデルとの協業を取り付けていた。また、同社のグリッドセンターにおける検証環境の提供も行っている。今回の協業でハードウェアからサポート・インテグレーションまでを含めたパートナー体制がより強力になる。

 また、3社は同日「アシスト・IBM・オラクル仮想化アライアンス」を発足した。アシストが事務局をつとめる。年内に50社程度の参加企業数を目指す。

 オラクルの常務執行役員 製品戦略統括本部長 三澤智光氏は「DBをはじめとしたオラクル製品は(VMWareやXenといった)Oracle VM以外の仮想化エンジン上の稼働は保証されない」と述べる。正式に保証されたVM上での稼働を、ハードウェア環境を含めたベストプラクティスとともに提供する必要性が今回のアライアンスが実現された主な理由だ。

 日本IBMはSystem zやSystem p上のIBMによる仮想化環境と並んで、Oracle VMをSystem x上での仮想化ソリューションと位置づける。「コンソリデーションの問題などでVMへの要求は高まっている。今回の取り組みができたことをうれしく思う。お客様に最適なVM環境の選択肢を提供する。そのパートナーとしてオラクルとアシストは最適なパートナー」(日本IBM 理事 モジュラー・システム事業部長 諸富健二氏)。ただし、同社は今後もSystem x上でのOracle VM以外のVM製品も継続する。

 アシスト取締役の大塚辰男氏は「VMに対する期待が持たれていると同時に、迷い・不安がある。また、過度の期待を抱いているケースもある」とし、同社の検証環境の提供・情報提供について市場の要望であることを述べる。

 「VM事業をライセンス事業としてはとらえていない。サポートサービスの事業ととらえている」(三澤氏)というように、Oracle VM自体は無料。米Oracleのサイトよりダウンロード提供される。オラクルとしては、「データベースやERPといった、エンタープライズシステムとして仮想化された環境を提供していく」(同)とする。

 三澤氏も語るとおり、Oracleは同社製品をOracle VM以外の仮想化環境で動かした場合の保証はしていない。エンタープライズシステムでは広くOracle製品、特にOracle Databaseが普及していることを考えるとOracle VMの可能性は大きい。あとは顧客が仮想化をエンタープライズシステムに適用してくれるかだ。今回の協業がその助けになることを期待したい。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

  5. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]