調査や研究の数は増えているものの、顧客コミュニティの正確な数は依然として把握が難しい状況にある。ただし、多くの情報源から、多くの企業がコミュニティに取り組み始めていることは明らかだ。増えつつある顧客コミュニティに対する取り組みを示す最近の例には、頻繁に旅行する人のためにHyattが新しく作ったYatt'itコミュニティや、瀕死の状態から蘇ったAmerican ExpressのMember's Projectなどがある。どちらも非常に高度なプロデュースが行われており、この記事で最初に説明した3つの成功している草の根コミュニティに比べると見た目も魅力的だが、どちらも顧客の巻き込みと参加者増加に苦戦している。
Deloitteの顧客コミュニティに関する研究である、Tribalization of Businessは多くの注目を集めている。この研究の成果の概要については、Slideshareのまとめを参照して欲しい。
では、顧客のコミュニティの構築を成功させるための、秘密の方程式は何だろうか。確かに、手がかりを見つけるために調べるべき有名なサクセスストーリーは存在する。好例の1つがDellのオンラインコミュニティで、これは2007年に企業イメージを転換させるのに使われたことで有名であり、現在でも非常に注目され、よく利用されている顧客コミュニティ資産の1つだ。もう1つの例はSAPの持つさまざまな顧客コミュニティで、100万人以上の企業および技術者ユーザーを抱えており、参加度も非常に高い。
これらのサクセスストーリーから何を学び、どのようなビジネス慣習を引き出すことができるだろうか。かなり多くのことがわかってきている。私が過去の顧客コミュニティの試みや、私自身の現場での経験からできるだけ多くの教訓を引き出し、それを統合して作ったものが、以下に挙げるリストだ。私が作った他のリストと同じように、このリストは完全なものではない。読者にはぜひ、自分のベストプラクティスをコメント欄からこのリストに追加して欲しい。
オンライン顧客コミュニティのためのベストプラクティス
1.コミュニティのニーズを第一に考える。コミュニティはそのメンバーのニーズを満たすために存在し、顧客コミュニティでは、企業は金銭的な支援を行う緊密な関係の参加者になるか、コミュニティと少し距離を取るかのどちらかを選択することができる。DellのコミュニティやXMFanなどの、もっとも活気のあるコミュニティは、少なくとも何人かの支援企業の重要なリーダーと、よい関係を持っている。しかし、コミュニティが本当に自由に行動できることは、たとえそれが競合他社の製品を勧めることになったり、コミュニティが顧客の不満を発散させる場になったとしても、そのコミュニティでの開かれた対話、誠実さ、信用、率直さなどを保つためには必要不可欠だ。この少し引いた立場を保つことは、一部の組織にとっては非常に受け入れがたいことかもしれないが、うまくいっている組織は謙虚さと互いに尊重する態度を持ってこれを保っている。