2008年のビジネス界のWeb 2.0の潮流の1つは、ウェブベースの顧客コミュニティの出現だ。これらのコミュニティでは、ブランドや製品、サービスについて同じ考えを持つ個人が集まり、オンライン上でやりとりをしている。これはマーケティング上の戦術からはほど遠いように見えるかもしれないが、顧客コミュニティは熱意のある顧客の主導で急成長することも多い。成功例には、XM RadioのXMFan、Harley-DavidsonのHDTalking、IKEA製品に関するIKEAFANSなどがある。
上記のようなコミュニティは活気があり、活動的で、これらのコミュニティが対象としている企業からまったく支援を受けていないということも重要な点だ。その結果、企業はユーザーのグループが自然にできるのを期待するのではなく、これらのコミュニティを自ら育てようとすることによって、メリットを得られるのではと考えるようになってきた。活発なユーザーのコミュニティを作る手法は、今のところは科学というよりは芸術に属するものであり、リスクの高い計画になる可能性もあるが、もし成功した場合にどんなメリットが得られるかは明らかになって来つつある。
長年の間、顧客コミュニティの利点について多くの研究が行われてきた。「ウェブコミュニティ機能の顧客は販売実績の3分の2を占めるのに対し、サイトの訪問者は3分の1を占めるに過ぎない」ことを示した2001 McKinsey-Jupiter Media Matrixから、最近Wall Street Journalで脚光を浴びた、コミュニティの取り組みの4分の1以上が売上げを向上させる一方で、企業が支援する顧客コミュニティのほとんどがユーザー数の点でクリティカルマスに達することに苦戦していることを示したDeloitteの最新の研究まで、さまざまな研究成果が示されている。