出版社や製造業など、データの保護意識が高いユーザーを多数抱えるAdobe独自の事情もあるのでしょうか
おっしゃる通りかもしれません。我々の顧客が直面している課題は、確かにAdobeの事業のあり方に影響を与えます。ただ、そうしたことに加えて、一般のユーザーはデータをローカルで格納することと、リモートに置くことの間にある「利便」と「リスク」のトレードオフを十分に理解していないのではないかという危惧もあります。
いわゆる「Don't be evil」の理念が信頼できれば良いのですが。
そうですね(笑)データをリモートで管理することになる――これが前提である以上、クラウドのプレーヤーは「安心安全」を標語として謳う必要があるのでしょう。
日本国内での今後の事業展開を教えてください。
Photoshop.comの場合、米国に2カ所、ヨーロッパに2カ所、ホスティングの拠点を持っています。最終的な狙いは主要都市全体に拠点を置くことですが、日本からでもサービスを活用することは可能です。また、Acrobat.com(ベータ)はサービスの日本語化も終えています。
サービスの料金体系は?
Photoshop.comもAcrobat.comも、ある一定の容量までは無料です。日本からの場合、有償版を利用できるのはPhotoshop.comのみです。
これから段階的にオンラインサービスを増やしていく予定とのことですが、こうしたサービスは前述の2例と同じ課金体制で展開するのですか?
そうです。有償の部分が我々の売り上げに反映されます。まだまだホステッドサービスが売り上げに占める割合は少ないのですが、ソフトウェアを展開する新しい手法として、この部分が大きくなっていくと予測しています。