EMCとMS、提携を2011年まで延長--景気悪化によるIT予算削減に対応

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:矢倉美登里、高森郁哉

2009-02-04 12:25

 ニューヨーク発--企業のIT支出は霧散したわけではないが、Microsoftの最高経営責任者(CEO)を務めるSteve Ballmer氏は米国時間2月3日、大半の企業がIT部門に予算の大幅削減を命じていると述べた。

 Ballmer氏は同日、EMCのCEOを務めるJoe Tucci氏との合同インタビューで、CNET Newsにこう述べた。「支出を5〜10%削減するためには、数多くの対象について少しずつ節約する必要がある。新たな取り組みも全くないわけではない。新規プロジェクトの一部は中止されることになり、ベンダーに対する値下げ圧力もある」

 Tucci氏も、景気の悪化により同様の圧力を受けていると述べた。「顧客の大半が何らかの再建に取り組んでおり、経費削減に努め、(投資回収の)短期化を求めている」

 Tucci氏とBallmer氏は、ニューヨークのプラザホテルでCNET Newsのインタビューに応じた。両氏はこのホテルで、数十人の最高情報責任者(CIO)と会合を持ち、EMCとMicrosoftの共同販売およびエンジニアリングに関する提携の3年間延長を発表した。両社は2003年から一部の分野で提携してきたが、近年は提携を大幅に拡大している。

 EMCとMicrosoftは現在、提携拡大の一環でセキュリティ、仮想化、文書管理など多くの分野で協力しているが、発表により提携が2011年まで継続されることが明らかになった。

 Ballmer氏は、提携はしばしば解消されたり、見当違いだったと分かるが、EMCとの提携は違うと述べた。同氏は、当初は2社の事業分野が重複する範囲に多少の疑念もあったが、Tucci氏の楽観的な見方が正しいと分かって満足していると語った。

 それでも、少数の分野、特に仮想化において、両社の提携は呉越同舟となっている。EMCは結局、仮想化技術を主導するVMwareを2004年に買収した。EMCは、VMwareのIPOを実施して分社化したが、仮想化市場でMicrosoftの最大のライバルであるVMwareの株式をまだ大量に保有している。

 「われわれは、ここに座ってVMwareとの提携を装っているわけではない。彼らと張り合っている分野はあるが、それは脇に置いておこう。顧客の要望を考慮すると、もっと競争する必要がある」(Ballmer氏)

 だが、EMCがVMware株を保有していること以上に、EMCと仮想化にとって重要なことがある、とBallmer氏は述べた。

 ストレージ事業も仮想化によって変わりつつある。「Tucci氏はVMware株を80%保有しているかもしれないが、それでも彼は、VMwareに対してわれわれが勝利する可能性がある分野で共同販売するのはいい考えだと思っている」

 Tucci氏は、顧客がEMCとVMwareの両方の製品を購入すれば双方にとって利益となるが、Microsoftの仮想化製品「Hyper-V」と連動するストレージ機器を販売することも喜ばしいと述べた。

 「重なり合う分野がゼロの完全な提携を求めても、有力企業2社の場合にはまず不可能だろう」(Tucci氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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