かつてMySQLの最高経営責任者(CEO)を務め、現在はSun Microsystemsのデータベースグループ担当シニアバイスプレジデントを務めるMarten Mickos氏が、再編計画の一環としてSunを離れることが明らかになった。
米国時間2月6日午前、筆者がMickos氏に直接電話で確かめたところ、退社は事実だと認めた。ただし同氏によれば、「MySQL」事業は異例なほど好調な四半期決算を達成したばかりで、退社の理由は同事業の不調ではないという。
「私が辞める理由はMySQL事業にあるわけではない」とMickos氏は語った。「ビジネスは順調だ。最近も、われわれが生んだ勢いを確固たるものにする数百万ドル規模の契約を締結したばかりだ。われわれはまた、過去最高の四半期決算を達成したばかりだ」
だがMickos氏は、2009年2月第1週に社内のスタッフ宛てに送信した電子メールの中でほのめかしていたように、SunがMySQL事業に持ち込んだ官僚主義の肥大化に不満を募らせていた。
私はSun Microsystemsを離れることを決めた。これは自主的な決定で、誰かが何らかの形で私に影響を及ぼしたわけではない(私の妻は別だが)。
私は、まだ実証されていない価値の提案に挑戦したり、事業の意思決定のトップとして新しいものを築くことが好きな性格だ。私は、(MySQL時代の)2001年当時のオーナーたちが定めた課題を全うできたと感じると同時に、今は自分が身を引いて、グループの有能なマネージャーたちに引き継ぎ、彼らに意欲的な事業の強化を継続してほしいとも考えている。
Mickos氏が電子メールの中で言及していないものの、会話から筆者に伝わってきたのは、Sunの官僚主義に対する不満だ。Mickos氏はオープンソース事業の根幹を成す最重要人物の1人で、Sunの社運に変化をもたらす自由が与えられるべきだった。筆者がSunの他の幹部たちから聞いた話では、同氏がその自由を与えられたとは思えず、これが理由でSunを離れたいと望むようになったことは明らかだ。
Mickos氏の退職を許したことは、Sunが下した最悪の決定の1つだ。これは、MySQL事業の豊富な人材の大量流出につながる恐れがある。Mickos氏は、オープンソースの実践主義者かつ先見の人として、MySQLの売上増を支える中心的存在だった。同氏はMySQLの顔だったが、興隆するオープンソース業界の顔でもあった。
Mickos氏の直前には、MySQL共同創業者のMonty Widenius氏がSunを退職したばかりだ。ただしここでの違いは、Widenius氏がMySQL事業における意思決定から時にいくらか切り離されていたのに対し、Mickos氏はまさに意思決定の中心にいたということだ。
SunはMickos氏を失うことの意味を痛感するだろう。同社におけるオープンソース事業の再生は大打撃を被った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ