ソーシャル・パワーはアメリカの金融を救うか

飯田哲夫(電通国際情報サービス) 2009年03月09日 18時30分

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 クレジット・クランチが進行によって銀行の融資が細る中、その流れを逆行させようと画策する「UncruncAmerica(アンクランチ・アメリカ)」というキャンペーン・サイトがある。その正体は、Lending ClubVirgin Moneyなど、ソーシャル・レンディング及びその関連ビジネスを展開する主としてスタートアップ企業群である。

 このサイト自身は非常にシンプルなもので、個人間での助け合いによりクレジット・クランチを乗り切ろうという主旨のもと、個人や個人事業主を参加するソーシャル・レンディング・サイトへ導くというものである。

 自己資本率の規制を受けない個人であるが故に集約化することで生み出されるエネルギーへの期待、また、ソーシャル・レンディングのサービスが認知向上を目指してクラスターを組み始めたことなど、なかなか興味深い動きである。

金融機関の現状

 金融機関は過去に合併を繰り返して規模の拡大を図ってきた。これは日本の金融機関も同様である。装置産業化した金融サービスは、資金を調達する上でも、巨額のIT投資を賄う上でも規模の経済が有効な業態である。しかし、BIS規制という非常に厳しい制約があり、銀行は貸出債権が一定以上に劣化することを避けようと動く。

 そのために、今のように信用収縮の過程においては信用力の低い貸出先へはお金が回りにくくなってしまうのである。本当であれば生活や事業継続のための資金が必要な時なのに、こうした状況に対する対応が出来なくなり、ますます信用収縮が進行する。BIS規制は、平常時であれば金融機関がリスク管理を徹底して健全なビジネスを行うことを促すものであるが、信用収縮時にあってはその規制自体が収縮の速度を加速しているという指摘もある。

 ならば、リスクを分散して、ソーシャル・レンディングのように皆で少しずつ貸せばよいではないかという考えもあるが、こうした仕組みは大手企業への大規模な融資でしか適用されない。そもそもコストが掛かりすぎて細かい融資には適用できないのである。結局、規模を拡大して資金を集中したにも関わらず、規制をクリアするためにそれを貸し出さないという事態になる。これでは何のために集約したのか判らない。

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