「ベンダー同士手を組まなければモノは売れない」--RSA社長が語るコラボレーションの重要性 - (page 2)

藤本京子(編集部)

2009-04-24 13:57

--コラボレーションする代わりに企業を買収する手もあると思うが、コラボレーションするか買収するかはどうやって見極めるのか。

 買収ターゲットとなるのは、その企業の持つテクノロジが戦略の中でコアな部分を占めていて、自社でそのテクノロジを持つべきだと考える場合だ。DLPを例に挙げよう。Microsoftは、DLPをコアな技術と考えていないため、RSAとライセンス契約するのみにとどまった。一方、RSAが2007年にDLPベンダーのTablusを買収したのは、われわれがこの技術をコアだと考えていて、自社の技術にしたかったからだ。

 買収は、戦略を実行するひとつの方法となる。コラボレーションは、激しく戦うつもりのない分野で価値を高めたい時に使う方法だ。

--今、買収したい企業はあるか。

 企業名は言えないが、常にいろんな企業に興味があって、欲しい企業のショッピングリストも作っている。ただ、買収は万能薬ではないし、自社のイノベーションに取って代わるものでもない。だからこそRSAでは自社のイノベーションにも力を入れていて、それを誇りに思っている。

--これまで買収した企業の中でお気に入りの企業は?

 多くの人は覚えていないと思うが、RSAはもともとSecurity Dynamicsという会社だった。そこがRSAを買収して社名もRSAになったので、私の一番のお気に入りはRSAだ。その次に気に入っているのは、2005年に買収したオンライン詐欺対策ソリューションを持つイスラエルのCyotaかな。

 Cyotaを買収した当時、RSAは大企業向けソリューションでは何千万ものアカウント数を扱っていたものの、コンシューマーは200万アカウントしか取り扱っていなかった。それが、Cyotaの技術や、2006年に買収したPassMark Securityなどの技術を組み合わせたことで、今では2億5000万ものコンシューマーアカウントを扱うようになった。

--今後セキュリティをより高めなくてはならない分野はどこだと思うか。

 RSAの専門分野ではないが、アンチマルウェアだろう。アンチウイルスのシグネチャ技術は効果が薄れてきているため、アンチマルウェアの行動パターンをベースとした技術がもっと発展してほしいと思う。

--RSAはどの分野でビジネスを発展させるのか。

 ちょうど4月23日にEMCが2009年第1四半期の業績を発表したが、RSA部門ではオーダー数が前年同期比10%増、収益が同6%増となった。経済状況が悪化する中でも成長しているということだ。今後もRSAでは、DLPや情報保護、ID保護、認証などの分野で価値のある提案をしていきたい。

 そのための方法は3つある。まずは、製品をより強固にリンクさせていくこと。2つ目は、パートナーシップによって技術を広めること。そして3つ目は、自社のイノベーションと買収で、製品や技術を拡張していくことだ。

--今後RSAをどのような企業にしていきたいと考えているか。

 リーダーであり続け、10億ドル単位の収益が出せるようにしたい。そして、安全な情報インフラを提供し、誰もがインターネットを通じてイノベーションやコラボレーションできると思えるような世界を作り上げたいと考えている。インターネットはより安全になる。私は楽観的だから、そうできると信じているよ。

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