不況の今こそ優れた「段取り力」が会社を救う!--知識とシステムの融合を実現する日立 Cosminexus

富永康信(ロビンソン) 撮影:石井健

2009-06-01 21:22

 2008年後半から重篤化したサブプライム問題やリーマン・ブラザースの経営破綻以降、金融危機は世界的な実体経済の悪化へと波及した。

 日本の2009年1~3月期における国内総生産(GDP)の実質成長率はマイナス15.2%(年率換算)を記録し、不況の底打ちが見えない中、企業はIT投資の予測を軒並み下方修正している。

 だが、今こそ企業が着手すべきは、経営体質強化へ迅速に対応するための戦略的IT投資とITポートフォリオの本格見直し、そして新たなビジネスプロセスへの転換である。

 これまで日本企業は、長期的視野で業務を改善し、個々人の業務遂行レベルを高め、その結果として高い生産性や品質を実現させ競争力に結びつけてきた。その長年培われてきた業務に対する知見やノウハウ(暗黙知)を体系化し、それらを高いレベルで共有させ、改善サイクルを迅速に回していく体質に変えることが、不確実な経済を生き抜く鍵となるだろう。

SOAプラットフォーム「Cosminexus(コズミネクサス)」のフロント統合基盤

 日立製作所は、SOAによるシステムを構築、運用するためのミドルウェア製品群「Cosminexus」のフロント統合基盤(ビジネスユーザーが活用するツール群)に、ベテランの作業手順や知識、ノウハウとシステムの融合を実現する業務ポータル「uCosminexus Navigation Platform」(以下、業務ポータル)を投入。2009年2月から提供を開始した。

 Cosminexusファミリーへ新たに加えられたこの業務ポータルは、業務フローとガイドを同一のウェブ画面上に表示するユニークな手法を用い、個人が蓄積している知識とノウハウを組織内で共有できるシステムとして、多くの業界から注目を集めている。

 そこで今回は、日立製作所 ソフトウェア事業部第1AP基盤ソフト設計部の主任技師を務め、この業務ポータルの開発を主導した的池陽氏に、ZDNet Japan編集長の冨田秀継が話を聞いた。

業務フローとガイドでベテランの知識とノウハウを組織内で共有

「業務ポータルはSOAを実践していく足がかりとなるための製品」と語る日立製作所の的池陽氏 「業務ポータルはSOAを実践していく足がかりとなるための製品」と語る日立製作所の的池陽氏

 冨田:業務ポータルの正式リリースは今年の2月ですが、コンセプトが発表された時点で各方面からの評価も高かったようですね。

 的池:おかげさまで、2008年10月に出展したイベント「ITpro EXPO」において、業務ポータルが「ITpro EXPO AWARD 2008 Autumn(エンタープライズ部門)」を受賞したことで早くも注目が集まりました。

 業務フローとガイドで業務を高いレベルでナビゲーションするという独創性が評価されたのではないかと自負しています。

 個人レベルでの作業手順を画面上に業務フローで体系化すると同時に、各プロセスに密接なバックエンドの既存システムと連携させることで、必要な情報やノウハウをガイド画面で提供し、ベテラン同様に業務遂行をスムーズにナビゲートできるように工夫しています。

業務ポータルのバックエンドシステム連携。プラグイン(アダプター)を追加することでウェブサービスや各種SOA部品、データベース、ワークフローシステム等のバックエンドシステムと容易に連携させることができる(画像をクリックすると拡大します) 業務ポータルのバックエンドシステム連携。プラグイン(アダプター)を追加することでウェブサービスや各種SOA部品、データベース、ワークフローシステム等のバックエンドシステムと容易に連携させることができる(画像をクリックすると拡大します)

 冨田:SOAプラットフォーム構築基盤であるCosminexusのフロント統合基盤として位置づけられる業務ポータルですが、その開発の狙いとは何だったのでしょうか。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  5. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]