ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)は8月25日、地方公共団体等におけるソフトウェア資産管理(Software Asset Management:SAM)の推進策として、「パブリックセクター向けSAM支援プログラム2009(P-SAM2009)」を開始した。あわせて、パブリックセクターにおけるSAM構築に有用な情報をまとめたポータルサイト「P-SAMポータル」をオープンした。
BSAは、世界規模でビジネスソフトウェアに関する権利保護活動、教育啓発活動、政策提言などを行う団体。BSAでは、中央省庁や地方公共団体、それらの外郭団体、国立大学法人、地方独立行政法人、学校法人などを「パブリックセクター」と定義している。同セクターでは、民間企業と比較して、SAM導入が遅れている傾向にあり、組織内でのソフトウェアの不正利用、ライセンス違反等が懸念されるとしている。
こうした状況に対処するため、BSAでは2008年末に「パブリックセクター部会」を発足し、2009年度の基本方針として「パブリックセクターにおけるSAM普及強化」を掲げた活動を行ってきた。今回のP-SAM2009の開始とポータルサイトの開設は、この活動の成果のひとつであるという。
P-SAM2009では、特にパブリックセクターでのSAM導入にあたって有用な構築手順書や規定、記録、基本台帳といった文書のひな型を無償で提供するほか、実際にSAMの構築を検討している団体に対して、コンサルティングを含む導入支援サービスを提供する「SAM構築支援会社」の紹介を行う。
文書のひな型については、P-SAMポータルからのダウンロードが可能だ。なお、このひな型は、ソフトウェア資産管理のための標準規格である「ISO/IEC19770-1」をベースにしたもので、特に政府組織や地方公共団体における適用を容易にするため、用語などに配慮を行っているという。このひな型は、すでにBSAや導入支援企業との連携のもとでSAM構築を行い、「SAMモデル自治体」としてBSAより認定を受けた「神戸市」が策定したものを基にしており、実際に神戸市で策定した元の文書についても入手が可能だ。P-SAMポータルでは、これら文書のダウンロード提供のほか、パブリックセクター向けSAMの構築ノウハウ、事例などの紹介も行っていくとする。
なお、BSAに登録されているSAM構築支援会社は、8月25日時点で、アエルプランニング、網屋、内田洋行、クロスビート、CSKサービスウェア、デロイト トーマツ リスク サービス、監査法人トーマツ、ネットブレインズの8社。各社は、P-SAM2009で提供されるひな型を元に、コンサルティングなどを含むSAMサービスパッケージを提供していく。
BSAでは、「多くの地方公共団体などでは、組織上の問題や予算管理上の問題から、これまでSAMに着手できていなかったり、または着手していても適切に実施できていない、実際にどのように構築を進めればよいか分からないといった状況が多かった。P-SAM2009により、実際の構築事例や策定ノウハウを広く共有し、関連情報を提供することでパブリックセクターでのSAM導入を支援したい」と話している。