2009年の年末は、CNET JapanとZDNet Japanの両媒体で、編集者と記者が、それぞれにこの1年を振り返りつつ、年末に改めて読んでほしいオススメ記事を紹介する企画を行っている。せっかく個人の名前でオススメするのだから、自分のキャラクターが出るようなセレクトをしてみようと思ってしばし悩んだのだが、どうやら「昔ばなし」をするのが一番しっくりきそうだ。
ステレオタイプとして、アラフォー前後の上司(中間管理職)が20代前半の若手と酒を飲みにいく場合、いいカンジに盛り上がってきたころ合いで、たいてい上司が「オレが若かったころはよぉ」と、半ば強制的に自分の新人時代の怪しげな武勇伝を語りはじめて興をさますものである。……そういうものだよね? ま、そういうことにしておいて。
私も、20代前半でエンタープライズIT業界の記者としてキャリアをスタートした。その後、かかわった媒体や事業体の栄枯盛衰、弱肉強食、合従連衡の波にほんろうされつつ流れ流され、気がつけば「アラフォー」と呼ばれる世代になっていた。その間、約15年。
「職歴15年など、まだまだヒヨっこ」というのは重々承知しているが、それでも「ドッグイヤー」や「秒進分歩」と呼ばれるほどのスピードで進化を続け、今なお変化の速度を緩めないIT業界の15年前には、ひと昔以上の隔たりを感じている。
特に、2009年には、そんな私にとって感慨深いニュースがいくつかあった。それらに絡めつつの昔ばなしに興味を持っていただければ幸いである。
「オレが新人のころはよぉ……」
マイクロソフトがWindows 7発売(10月22日)
私がこの業界で仕事を始めたのは1995年。この年の11月23日に発売されたのが「Windows 95」だった。
秋葉原で行われた深夜販売イベントは、マイクロソフト関係者のみならず、パートナーとなるハードウェアベンダー、ソフトウェアベンダーの重役も顔を見せる、非常に大規模なものになり、製品自体もそれまでのパソコンOSの常識を覆す勢いで売上を伸ばした。
Windows 95では、それまでサードパーティベンダーから提供されていたTCP/IPプロトコルを標準で装備。マイクロソフトが運営するインターネットプロバイダーとしての「MSN」も、発売と同時に正式にスタートした。今、多くの人々が当たり前のように使っているインターネットが、一般のPCユーザーに広く使われるようになる礎が築かれた年でもあったのだ。
その後、「98」「Me」「XP」「Vista」とバージョンアップを続けてきたWindowsだが、今年発売された「Windows 7」では、前バージョンのVistaでの不振を立て直すべく、マイクロソフトも発売までに入念な準備を行ってきたようだ。早期から、完成度の高い「ベータ版」「リリース候補(RC)版」を広く公開し、「一世代前のPCでも快適に。最新のPCなら、さらにパワフルに」というメッセージを伝えて期待を盛り上げていった。