インテルの2010年度経営方針、「日本のPCメーカーの海外事業展開を支援する」

藤本京子(編集部)

2010-01-15 18:15

 インテルは1月15日、2010年度の経営方針について記者説明会を開催した。インテル 取締役副社長の宗像義恵氏は、2010年の注力分野として、日本のPC市場を拡大すること、日本のPCメーカーの海外事業の展開を支援すること、そしてPC以外の成長分野への取り組みを強化することを挙げた。

 日本のPC市場について宗像氏は、厳しいとされていた2009年においても、高まるコンシューマー市場の需要によって日本市場では約1400万台のPCが出荷されたとし、「新プロセッサや新OSの需要は高く、今後も顕著な推移を示すだろう」としている。また、「ネットブックやモバイルノートPCも順調で、これらの需要が出荷台数の伸びに大きく貢献した」宗像氏は述べ、今後もこの分野に注力していきたいとした。

宗像氏 インテル 取締役副社長 宗像義恵氏

 サーバ分野では、2009年3月末に発表したサーバ用プロセッサ「Xeon 5500番台」が好調だったと宗像氏。約4年前のプロセッサと比べて年間の電気料金が90%削減できるケースもあるとし、グリーンITに貢献できるとしている。

 インテルでは、医療や教育なども注力分野と見ている。「医療現場は慢性的な人材不足によって、生産性の向上が求められている。そのため、企業向けITの分野で提供しているvProなどの技術が関心を集めている」と宗像氏は述べ、今後も管理業務の効率化や運用コストの削減などに結びつく技術をアピールしていきたいとした。

 2点目の日本のPCメーカーに対する支援については、「今後PC市場の成長が期待される中国やインドなどの新興国において日本のメーカーがビジネスを拡大できるよう、ワールドワイドで事業展開するインテルがサポートできることは多い」と宗像氏。同氏によると、日本のブランドは海外でも浸透していて需要もあるため、「各国の要求に応じたシステムの開発支援から販売支援まで、日本のメーカーに協力していきたい」と述べた。

 3点目の注力項目であるPC以外の成長分野とは、「主にデジタル家電や組み込み系システムのこと」と宗像氏。インテルでは、2015年には150億台のデバイスがインターネットに接続されると予測しており、「サーバや携帯電話だけでなく、さまざまなデジタル家電がインターネットに接続される」と宗像氏は述べる。

 中でもインテルが注力しているのは、産業用組み込み機器や車載用インフォテイメントだ。インテルでは、独BMWや米General Motorsなどと車載用インフォテイメントのリファレンスプラットフォームの開発と促進に向けた活動を行うGENIVI Allianceを結成しており、「この分野で世界をリードするようになりたい」と宗像氏は述べている。

 デジタル家電の分野でも、インテルアーキテクチャ製品の普及促進を図るという。インテルでは、2009年9月に家電向けのシステムオンチップ製品「Atom CE4100」を発表しており、「1つのチップでインターネットと放送の両方のアプリケーションに対応できる」と宗像氏。また、2010年1月に米国ラスベガスで開催されたCES(Consumer Electronics Show)においても、PCのデジタルコンテンツをワイヤレスで家庭用薄型ディスプレイに転送する「Intel Wireless Display」を紹介しており、宗像氏は「今後はこのような新技術で新たな分野も開拓していきたい」と述べた。

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