GABAが選択したのは、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)のシンクライアント「HP t5730w ThinClient」だ。日本HPでは、GABAのケースにより最適と思われる「HP t5730wi Internet Appliance」を2009年10月に発表しているが、採用を決定したのがt5730wiの出荷前だったため、t5730wをt5730wiのようにカスタマイズして利用しているという。
機種選定の経緯について、Kulkarni氏はこう言う。
「今回のシンクライアント導入にあたり、日本HPのほか複数のシンクライアントを検討しました。決め手になったのは、われわれの独自OSとの相性が良かった点です。他社のシステムはドライバに問題がありましたが、HPはすでにわれわれが必要とするドライバやモジュールを持っており、特別のカスタマイズをすることなくこれまでのOSやドライバが使えたのです」
その他、インストールと設定の容易性、信頼性と安定性、アフターサービスとサポート、費用効率なども機種選定のポイントになった。
GABAはこのシンクライアントの導入に合わせ、OSのアップグレードを行っている。「フレームワークはLinuxベースであり基本的な違いはありません。これまでのOSは以前の担当者が開発したもので、新たなことをしたいと思ってもカスタマイズが難しかったのです。セキュリティも強化する必要がありました。そのためOSをアップグレードしました。2009年のことです」(Kulkarni氏)
目に見える効果
シンクライアントの導入は2009年9月。赤羽校を新規オープンしたときにシンクライアントをはじめて導入した。今後2〜3年かけてすべての教室でシンクライアントに置き換えていく予定だという。現在は約80台のシンクライアントが現場で使用されているが、これまで何の問題も起きていない。
導入効果もいくつか出てきている。まずはコスト削減だ。Williams氏は、「イニシャルコストだけでも、これまでのノートPCに比べ約40%の削減になります。それ以外に熱効率もよく、省エネにつながります。またドライバが少ないことなどで、メンテナンスでもメリットがあります。これらを合わせると従来のノートPCに比べコストは半分くらいになるのではないでしょうか」と、新システムを評価している。
信頼性も向上した。「すべての情報はウェブ上にあるため、万一このシンクライアントが盗まれても、中には立ち上がるOS以外なにもないのでデータ漏えいの心配がない」と増永氏。さらにユーザーからも「シンクライアントになって画面が大きくなり、キーボードも使いやすい」という声が寄せられているという状況だ。