企業データの8割にはロケーションの要素が含まれる
続いて登壇したGoogle、Enterprise Product ManagerのDaniel Chu氏は「Google Maps for Business 〜Google Maps API Premier〜」と題した講演で、Googleの提供する地理情報に関する技術が、ビジネスにとって重要な意味を持つ理由について訴えた。
まずChu氏は、Quocirca Researchのアナリストによるコメントを引用しつつ「エンタープライズに存在するデータの80%はロケーション(位置)の要素を含んでいる。しかし、実際のビジネスでは、それに基づいた意思決定が行われていない。にもかかわらず、GPS機能などを備えるモバイルデバイスの普及が、さらに使われないロケーションデータの増加を加速している」とし、既存の地理情報、位置情報のさらなる活用が、企業における競争力の強化につながると指摘した。
そして、常にアップデートされつづける地理情報の活用にあたっては、「クラウドベースで提供されるサービスの利用が重要である」とし、地図データのアップデートや新機能の追加がグローバル規模で行われ続ける点、ロケーションベースのサーチや可視化をはじめとする主要な機能がAPIベースで提供される点、高い信頼性を備える点などで、Googleの地理情報サービスが競合に対して大きなアドバンテージになると主張した。
その一例として、Chu氏は、デジタルマップがない地域や国においてユーザーが独自に地図を編集できる「Google Map Maker」の存在や、より精細なイメージを活用したいPremier契約者向けに「GeoEye」の衛星イメージへのアクセスを用意していることなどを紹介した。
有償のGoogle Maps API Premierを利用した事例としては、不動産サイト、フリートトラッカー(配送車両などの追跡)、SAPのBIツールとの統合といったものが既に登場している。中には、フィットネスマシンのディスプレイにGoogle Mapsの「ストリートビュー」を表示し、ランナーが走った距離に合わせて景色を変化させるといったユニークなものもある。ちなみにGoogleでは「アクセス制限されたMapsに社内の見取り図を重ね、会議室の案内用として利用している」(Chu氏)そうだ。
Chu氏は、Mapsに関する最新の技術動向についても紹介した。「Aerial Imagery」は、Mapsの航空写真を角度を付けた鳥観図として表示する機能。不動産業界の強い要望を受け米国で既に開始しているもので、追って日本でも提供の予定という。そのほか、Maps Data APIを使って、地図上に付加したメタデータの編集やホスティングを行う機能、スマートフォンをはじめとするモバイル環境向けに、クロスプラットフォームでMapsアプリケーションを開発するためのJavaScript Maps API、Static Maps API、Android MapView、Apple MapKitといった開発環境を整備しつつあることを訴えた。