野村総合研究所(NRI)は3月26日、金融機関向け共同運用型(ASP型)インターネットバンキングサービスの提供を、2011年4月以降に順次開始することを発表した。同サービスは、NRIからの販売だけでなく、代理店販売による提供も行っていく予定だという。
NRIが提供するインターネットバンキングサービスは、「使い勝手の良いフルバンキング機能」「安定的で低コストな運用環境」「ナビゲーション、セールス支援機能」を装備しているのが特徴で、NRIがこれまでインターネットバンキングシステムの構築支援で培ったノウハウを活かした設計になっているという。
フルバンキング機能は、PC、携帯電話からの利用が可能で、個人顧客および法人顧客向けとして、振込や振替、定期預金、外貨預金、投資信託、国債、ローンなどに対応するという。利用画面は、利用者から見てフルバンキング機能全体の統一感があり、かつ使い勝手の良い設計だとしている。運用はNRIのデータセンターで行い、運用管理システムなどのシステム機器、運用オペレーター、テスト環境を共同利用することで、コスト低減を実現するという。また、ナビゲーションおよびセールス支援機能としては、利用者に対し、視覚的にわかりやすく金融情報を提供。ログイン情報から把握した利用者の属性に応じ、商品やキャンペーンのバナー広告を表示できるマーケティング機能や、商品紹介などのページから取引画面へとスムーズに遷移する機能なども搭載している。
さらにNRIでは、提携証券会社など他の金融機関の口座情報をインターネットバンキングのウェブ画面上で一覧表示できるアグリゲーションサービス「InterCollage」や、投資信託の取引報告書などの帳票や定期預金満期案内、住宅ローン返済予定表などが電子交付でき、郵送コストを削減する電子信書交付サービス「POSTUB」、携帯電話によるワンタイムパスワードの発行や認証、リスクベース認証を行い、導入と運用コストを削減する高度認証ASPサービス「SecuSURF」、金融機関のホームページとインターネットバンキング画面のユーザビリティを統合的に評価および分析し、利用者の使い勝手を向上させる設計支援を行う「ウェブコンサルティング」などもオプションで提供するとしている。
NRIは、すでに多くの金融機関で提供されているインターネットバンキングは、金融機関の全体チャネル戦略の中で重要なチャネルの1つだが、利用率がなかなか上がらず、サービスの改善や追加は費用対効果からみて判断し難い、といった課題を抱えているという。今後、インターネットバンキングの利用を促進し、収益化を図っていくためには、利用者にとっての利便性を高めるとともに、利用者のさまざまな金融ニーズに応えるナビゲーションやセールスチャネルへと転換していくことが求められるとしている。