三菱総合研究所は4月5日、自治体やパブリッククラウドベンダーで「クラウドユーザー研究会」を立ち上げることを発表した。公共向けのプロトタイプサービスを試験的に無償提供して、公共系の現場で実際に使ってクラウドサービスの活用方法や自治体が導入する際の課題を検討するとともに、プロトタイプサービスの検証や機能改善などを行っていく。
クラウドユーザー研究会は、自治体のほかに自治体から委託を受けて公共サービスを提供する事業者、非営利団体(NPO)が中心に参加する。自治体などのユーザーに実際に試作品(プロトタイプ)のクラウドサービスを試用、検証してもらい、ニーズや課題などを明らかにしていく。得られた成果をユーザーやクラウドサービス事業者、国の政策などにフィードバックすることで、自治体による効果的な利活用が進むことを目指すとしている。
試用期間は4月から10月までとし、提供されるプロトタイプサービスは、在宅介護支援サービス、図書館サービス、観光統計サービスの3つを予定している。
在宅介護支援サービスは、自治体や在宅介護支援サービス事業者、サービスの利用者というそれぞれの立場で必要なサービスを提供する。図書館サービスでは、図書館の蔵書検索、貸出予約サービスのほかに、複数の図書館での蔵書検索、蔵書がない場合の購入サイトへのリンク、購入サイトのレビューを活用するなどのサービスを提供する予定だ。
観光統計サービスは、2009年12月に観光庁が示した「観光入込客統計に関する共通基準」にもとづいて作成する観光地点などの名簿、観光地点パラメータ調査の結果を活用したサービス。統計量の推計や結果の公表、共有様式を取りまとめるとともに、データの収集整理を支援するサービス、収集したデータの高度利用を行う分析サービスを提供する。
プロトタイプをセールスフォース・ドットコムとマイクロソフトが提供する。また、Amazon Web ServicesとGoogle Appsも利用できる。三菱総研では、自治体などを対象にクラウドユーザー研究会の説明会を4月28日に開催する。同社ウェブサイトから申し込める。