IDC Japanは5月10日、2009年における国内仮想環境管理ソフトウェア市場規模実績と2014年までの市場規模予測を発表した。これによると、2009年の国内仮想環境管理ソフトウェア市場規模は、対前年比34.4%増の101億300万円。2009年〜2014年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)は33.8%、2014年には2009年の4倍以上の433億円に達すると予測している。
IDC Japanでは、サーバ仮想化の導入の急速な拡大に伴い、その運用管理のニーズが高まっており、特にユーザーは仮想化導入後の運用管理コストの削減に着目しているとする。そうした中で、「VMware vCenter Server」のようなハイパーバイザで構築された仮想環境を管理するソフトウェアの導入がいち早く進んでいるとしている。さらに、統合運用管理ソフトウェアも仮想環境対応が急速に進められており、仮想と物理の混在環境を一元管理することが可能になってきているという。2009年は景気後退によるIT投資の縮小の影響はあったものの、このような背景のもと30%以上の成長を達成したとみている。
また、2009年〜2014年のCAGRが33.8%との予測については、今後もサーバ仮想化の普及は拡大し、ユーザーのシステムは仮想環境の占める割合が大きくなっていくであろうことを理由としている。しかし、その一方で、拡大していく仮想環境に向けた運用管理の問題が顕在化しつつあるともいう。IDCのユーザー調査によると、リソース不足によるパフォーマンスの低下、増殖する仮想サーバのメンテナンス負担、物理環境と仮想環境で分断された管理の非効率性などが挙がっているという。IDCでは、これらの問題を解決し、仮想化のメリットを最大化し、運用管理コストの削減を実現する手段として、仮想環境管理ソフトウェアの導入が加速していくことが考えられるとしている。また、パブリッククラウドサービスやプライベートクラウドの実行基盤の運用を自動化するツールとしての利用も拡大していくと予測している。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティマーケットアナリストの入谷光浩氏は「仮想化によるサーバ統合によって初期導入コストの削減効果が出ることは疑う余地がない。しかし、中長期的にユーザーが仮想化技術の導入によって大きなROI(Return on Investment)を享受できるのは、統合された後のシステム運用にある。ソフトウェアベンダーやソリューションプロバイダーは、仮想環境の運用管理ではどのようなシナリオが必要か、それに向けて自社はどのようなロードマップで製品やソリューションを提供していくのかを明確に示すことが重要となる」とコメントしている。