米国ラスベガスにて開催中の「CA World 2010」にてCA Technologiesは、さまざまな新製品を発表している。5月17日に発表したクラウド管理のスイート製品「CA Cloud-Connected Management Suite」もそのひとつだが、クラウド化を進めるにあたって欠かせないのがサーバの仮想化だ。
「企業は今、仮想化で受けるメリットと課題の中間にいる」と話すのは、CA Technologies 仮想化およびサービスオートメーションビジネス担当 コーポレートシニアバイスプレジデントのRoger Pilc氏だ。Pilc氏は仮想化のメリットについて、「コスト削減やエネルギー削減が見込めるほか、企業が迅速にサービスを提供できる環境を作り出す。また、バックアップやリカバリ、ビジネス継続性などの面においても効果が発揮でき、柔軟性のあるIT環境が手に入る」と説明する。その一方で、「多くの企業が仮想化を導入するものの、管理に手間がかかり複雑なため、途中であきらめてしまう」と説明、「仮想マシンの増加に伴って透明性が損なわれてしまうこともあり、仮想マシンの増加にITスタッフの数が追いついていない。また、パフォーマンスやセキュリティ、コンプライアンスを気にする企業も多い」と課題を述べる。
こうした課題を解決するために、CA Technologiesでは仮想化管理の新たな製品群を発表した。それは、「CA Virtual Assurance」「CA Virtual Automation」「CA Virtual Configuration」の3製品だ。
Virtual Assuranceは、仮想化されたインフラやアプリケーションを監視しパフォーマンスを向上させる製品だ。Virtual Automationは、仮想マシンの自動化機能や、ユーザーが簡単にオンラインで仮想マシンをオーダーできるようなセルフサービス機能を備えているほか、Amazonが提供するWebサービスの管理もできるようになっている。また、Virtual Configurationは、数の増加や移行などに伴って複雑化する仮想マシンの設定や状況の把握ができる製品となっている。
「今回発表した新製品は、CAにとって第3世代の仮想化管理製品だ」とPilc氏は説明する。「2008年に発表した第1世代の製品は、物理サーバを管理する既存製品に手を加えたに過ぎなかったが、2009年には仮想サーバを管理することに特化した製品を最初から作り上げ、既存製品のアドオンとしてリリースした。今回発表した第3世代の製品は、仮想サーバを管理する単体の製品で、CAの既存ユーザーでなくても利用できる」(Pilc氏)
CAの強みは、仮想環境に特化した製品を提供できることにあるとPilc氏は語る。「システム管理製品を提供する大手の競合は存在するが、こうした企業の製品は物理システムを管理する製品に手を加えたに過ぎない。しかし、物理マシンと仮想マシンは全く別物だ。仮想マシンは、物理マシンのようにサーバとアプリケーションが1対1で入っているわけではない。1つの箱ごとに管理する物理マシンの感覚では、仮想マシンを管理しきれないのだ」とPilc氏。
一方で、仮想化管理に特化した製品を提供する小規模運営の企業は存在する。こうした企業の製品についてPilc氏は、「エンタープライズクラスの環境を管理しきれない。また、インテグレーションやセキュリティ、信頼性においてCAが勝っているのはもちろんのこと、さまざまなソリューションをそろえ持つCAの製品群には追いつけない」と述べ、仮想化管理の分野ではCAがリーダーであるとした。
仮想化が進むIT業界についてPilc氏は、「10年に一度と言っていいほどの大きな波が来ている」と語る。企業での導入も加速しており、「CAの顧客は、約10%から25%程度のサーバを仮想化しているケースが多いが、ホテル運営会社のMGM Mirageは75%のサーバ仮想化を目指しているし、家具チェーン店のRooms To Goでは90%のサーバを仮想化している」といい、不況下でコスト削減が求められる中「仮想化はより浸透していく」とPilc氏は言う。
今後CAでは、どのような仮想化製品を提供していくのだろうか。Pilc氏は、「現在CAで提供している製品は大企業向けの製品がほとんどだが、今後は中規模以下の企業に向けた製品も展開していく。また、仮想化がより進むと行き着く先はプライベートクラウドだ。クラウドは、仮想化管理と自動化、サービスマネジメントによって成り立つもの。つまりCAの今後の製品も、こうした分野によりフォーカスしたものとなる」と述べた。