Microsoftがウェブブラウザ研究プロジェクト「Gazelle」に関する情報を公開してから、しばらくになる。
最後に得た情報では、Microsoftの研究者は、OSから隔離することで安全性を強化するという新しい種類のウェブブラウザを構築しているとのことだった。このプロジェクトは、Googleの「Chrome OS」との直接対決という点で、Chrome OSに最も近いMicrosoftのプロジェクトといえるだろう--ただし、Microsoftはウェブアプリケーション中心の世界において、OSライクなレイヤーのようなものをPCとデバイスは必要としていないとは主張していない、という点では異なるが。
Gazelleをチェックしていたところ、興味深い情報を発見した。まず、Gazelle(旧名称は「MashupOS」)は再度形を変えて、「ServiceOS」という研究プロジェクトの一部になっている。Gazelleのフォーカスは、セキュリティと保護にあった。ServiceOSは、ウェブアプリケーション向けのリソースアクセスと管理はどのようになるのかについてのビジョンを具現化することを目指す。ServiceOSに関わっている2人のMicrosoft研究者、Helen Wang氏とAlex Moschuk氏は2009年、ServiceOSビジョンの進化を説明するホワイトペーパーを発表している。
このホワイトペーパーの序説には、次のように書かれている。「既存のブラウザは、伝統的なOSに組み込まれているリソースアクセス管理や共有メカニズムに依存している。残念ながら、そのようなメカニズムは、他のウェブサービスのマッシュアップを埋め込んでいるような複雑なウェブサービスには適していない」。
これを読むと、GoogleがChrome OSで実現しようとしていることと同じに見えなくもない--伝統的なOSはウェブアプリケーション/サービスを動かすのには不向きで、必要ない、と。
だが、まったく同じではない。
ServiceOSプラットフォームは、「複数の特徴を持つブラウジングアーキテクチャを土台のOSと密に統合する」とホワイトペーパーの作者は記している。つまり、リソースアクセス管理とシステムリソース共有がプラットフォームに組み込まれていることを意味する。プラットフォームにはまた、「ウェブサービスが組み込んでいるさまざまなヘルパーサービス向けに明示的にリソースを割り当て管理するための新しい抽出」も含まれるという。
2人の研究者は、「CPU、メモリ、ネットワーク帯域、それにカメラ、マイク、GPSといったデバイスなど、さまざまなリソース」を管理するServiceOSプロトタイプを組み立てている(このプロトタイプは現時点では公開されていないようだ)。
いつものことながら、Microsoft Reseachのプロジェクトがもし商用化されるとなっても、商用製品や商用製品の一部となるには数年がかかる点に注意したい。そのため、ServiceOSが「Internet Explorer 9」や「Windows 8」の一部となることはあまり考えられない。それでも、Microsoftがこのコンセプトを進めているという事実は興味深いことだと思う。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ