ノークリサーチは6月10日、2009年度のPCサーバ(x86サーバ)国内出荷調査報告書、および2010年度の予測をとりまとめた。
同社によれば、2009年度のPCサーバ国内出荷状況は、上期は22万5671台と前年比84.2%の大幅減少となったが、下期は盛り返して104.1%とプラスに転じたという。2009年度全体では94.2%となり、マイナス成長ながら50万4306台と、かろうじて50万台を維持したとしている。
2008年から続く景況の悪化は、企業の規模や業種に関わらずIT投資を減速させ、その結果、PCサーバ市場に2年連続のマイナス成長をもたらした。ただし、一部ITサービスなどのネット系企業のサーバ需要は堅調で、数年間高成長を維持。また、2009年度下期は医療分野、金融業などでの需要は比較的堅調だった。また、2009年末から年度末(2010年3月末)にかけては、文教市場の特需に加え、製造業などの大企業需要が戻り始め、下期は前年比で4.1%プラスに転じたとノークリサーチでは分析している。
金額では、出荷台数の減少で前年比92.6%の2606億円となった。しかし、全体的には低価格化は下げ止まりで、単価は上昇傾向にあると同社ではみている。また、需要の中心は、ラック型や高機能サーバに移ってきているという。一方、市場シェアでは、NEC、ヒューレット・パッカード(HP)、富士通の上位3社で約70%の市場占有となっているという。NECは前年比93.2%と若干のマイナスで、シェアを0.2ポイント下げたが26.8%で1位を保った。2番手のHPは前年比89.6%で前年を大きく下回った。ラック型、ブレード型はトップシェアであるが、全体シェアでは23.0%で、NECに対して3.8ポイント差をつけられている。富士通は、全社一丸となったPCサーバの販売体制、支援策の強化と製品の品ぞろえと低価格化などが奏功し、前年比124.7%で唯一大幅にプラスになり、シェア19.6%で、デルを抜いて3位に浮上した。
2010年度のPCサーバ国内市場について、ノークリサーチでは2009年度を若干上回る52万台程度まで回復すると予想している。また、同市場が好転する根拠として、「コスト削減や新サービス提供に向けたサーバ統合、集約やデータセンタ活用による需要拡大」「景気の底打ち感によるIT投資凍結の一部解除の機運」「2006年以前に導入したサーバのリプレース需要の期待」の3点を挙げている。