このように、企業においてレガシーOSはまだまだ現役で使い続けられている現状がある。それでは次に、具体的にどのような脅威が存在するのかを解説していく。
知られていないレガシーOSの脅威
OSベンダーのサポートが切れているOSを使用している、もしくはサポート終了後もそのままWindows 2000 Serverを使用すると回答したシステム管理者に対して、サポート終了後も使用し続ける上で、セキュリティ上の不安があるかと質問した結果が図4だ。脆弱性が見つかっても修正パッチが公開されないことに76.3%が不安を感じている。
基本的にサポートが終了したOSに対してOSベンダーは脆弱性が見つかっても修正パッチを提供しない。たとえば、近年騒がれているガンブラー攻撃でのサーバへの不正アクセスに関してもOSやウェブアプリケーションなどさまざまな脆弱性を悪用することが確認されている。修正パッチが公開されないということは、極寒の地を裸で歩くようなもので、すぐさま攻撃者の餌食になってしまうといえるだろう。
次に、使用方法などをOSベンダーに質問できないということに、25.3%が不安を感じている。これは、OSが再起動を繰り返すなど障害が起こった場合に、OSベンダーに傷害の原因を問い合わせすることができないため自社(もしくはSIer)で解決する必要があるということだ。続いて、「ウイルスに感染する可能性がある」が38.9%、「ウイルス対策ソフトが使用できない」が23.2%という結果になっている。クライアントやサーバ自体にインストールしてウイルス対策を行うような製品はベンダーのポリシーにも依存するが、基本的にはOSのサポートが切れた同日にサポートが終了する。
ウイルス対策ソフトはそもそもの目的がお客様に安全を提供するためのものだ。しかし、OSベンダーからセキュリティの修正パッチが提供されない状況では、仮にウイルス対策ソフトがアプリケーションレベルで対策を行うことができたとしても、OS部分を含めて根本的なセキュリティ対策を講じることができない恐れがある。
Q:OSベンダーのサポートが切れているOSを使用している方、サポート終了後もそのままWindows 2000 Serverを使用すると答えた方に質問です。サポート終了後も使用し続けるうえで、セキュリティ上の不安はありますか?(いくつでも)
次回はトレンドマイクロが実際に対応した被害事例を交えてレガシーOSの脅威を解説する。
筆者紹介
横川典子(Noriko Yokokawa)
トレンドマイクロ株式会社 マーケティング本部 エンタープライズマーケティング部 担当課長代理。ネットワーク機器メーカーを経て、トレンドマイクロにて脆弱性攻撃型脅威防御システムなどのマーケティングを担当。